さまざまなインプラントの術式 編

1回法と2回法

インプラントの手術には1回法と2回法があります。

1回法は、インプラントを埋入した後、その上に背の高いキャップを被せます。そのキャップが歯肉の上に出ますので手術後は粘膜(歯肉)からキャップが見える状態となります。

2回法は、インプラントを埋入した後、その上に背の低いキャップを被せるため、キャップが歯肉の中に入っている状態となります。2回法で手術を行った場合には、術後にもう一度、背の高いキャップに交換するための二次手術が必要になります。

抜歯即時埋入

歯を抜いてすぐにインプラントを埋入する方法です。歯を抜いた後、骨ができるまで待つ必要かおりません。期間が短縮できるだけでなく、骨や粘膜が退縮しにくいなど多くのメリットかおる方法です。

しかしこの方法を選択するためには、歯の周りに十分な骨があること、感染が少ないことなどいくつかの条件が必要となるため、すべてのケースに適応できる方法ではありません。

コンピューターガイドシステム

コンピュータガイドシステムはインプラントを正確な位置で埋めるための三次元画像解析ソフトを用いた診断ツールです。インプラントを埋める場所を歯の模型とCT画像を基準に決定し、それを元にサージカルガイドを作成します。これによってコンピュータ上で診断した位置に正確にインプラントを埋入することができます。

サージカルガイド

サージカルガイドは、インプラント埋入手術時に使用するもので、事前に行ったシミュレーション通りの位置と方向にインプラントを埋入できるように誘導するためのプラスチッププレートです。コンピュータによる分析とほぼ同じ位置に埋入することができるため、より安全で確実な手術が可能となります。当院では9割のインプラント手術においてサージカルガイドを使用した手術を行っております。

骨の造成

骨造成とは、不足している骨の高さや幅を補うための方法です。歯が抜けてしまうと、支えていた骨は痩せて少なくなります。インプラント周囲に十分な骨の量がない場合は、骨造成法のひとつである骨再生誘導法などを用いて、骨を作る必要があります。

人工骨材料や採取した自分の骨を不足した箇所に補い、メンブレンという人工の膜で保護することによって、失った骨を再生することができます。

歯肉の移植

インプラント治療では、粘膜(歯肉)が`足りないということもあります。粘膜が足りないと、審美性か悪くなるだけでなく感染リスクも高くなります。

結合組織移植は、そのようなときに口の中の他の箇所から粘膜の中にある結合組織を採取して、足りない部分に移植する方法です。前歯部においては、審美的に有利な結果をえるため、行われています。

ソケットリフト

ソケットリフトおよびサイナスリフトは、上顎の臼歯部において骨の厚みが少なく、インプラントの埋大箇所の上顎洞までの距離が足りない場合に用いる骨造成法です。

ソケットリフトは、インプラント埋入のために開けた穴から、特殊な器具を用いて上顎洞の粘膜を持ち上げ、その部分に人工骨材料を移植します。こうすることで、十分な骨の高さと量を増やすことができるのです

サイナスリフト

サイナスリフトは、上顎臼歯部の骨の厚みが非常に少なく、ソケットリフト法よりも多く骨を作る必要かおるときに用いる方法です。上顎骨の横から窓のような穴を開け、上顎洞の粘膜を剥離して持ち上げ、空洞となったスペースに人工骨材料を入れて骨をつくります。サイナスリフトは、ソケットリフトよりも手術の侵襲が大きいため、術後の安静とケアが特に重要になります

 

補綴主導型インプラント治療

補綴主導型インプラント治療は、最終的な上部構造(補綴物)の位置や形態、噛み合わせから判断して最良な位置にインプラントを配置させようとする治療法です。上部構造の直下に必ずしも骨や粘膜が十分にあるとは限らないため、不足している場合は骨や粘膜を移植する必要があります。

外科主導型インプラント治療

外科主導型インプラント治療は、極力骨があるところにインプラントを埋入することを優先する治療法です。この治療法は、上部構造を制作するうえで必ずしもインプラントを理想的な位置に埋人できるとは限らないため、角度補正などが必要な際には、アバットメントや上部構造で対応します。

患者主導型インプラント治療

手術による負担の大きさ、治療期間、治療費などの要素について、恚者さんとコミュニケーションを取りながら決めていく治療法です。 2000年代になってから導入されるようになった、もっとも新しい考え方です。みしま歯科医院では、~主導型インプラント治療というわけではなく、トータル的に考え、一番 医学的にも患者さん的にも推薦できる治療法を説明させていただいています。ご不明な点はすべてお聞きください。

フラップレス埋入

フラップレス埋入は、粘膜下の骨の状態、神経、血管の位置が正確に把握され、骨の中にインプラントが完全に埋め込まれると判断された際に、最小限のパンチング(粘膜を丸く小さくくり抜く方法)のみでインプラントを埋入する、手術後の痛みや腫れが少なくなる手術方法です。

リッジプリザベーション(歯槽堤保存術)

歯は抜かれると、残された穴(抜歯窩)の骨と粘膜は次第に退縮し、痩せ細っていきます。骨と粘膜が痩せてしまうと、インプラントを埋入することが難しくなったり、審美的な結果を得ることが難しくなったりします。なるべく歯槽堤(骨と粘膜)を温存させるために、人工骨材料やコラーゲンスポンジなどを入れ、歯槽堤の吸収を抑制しようとする治療法をリッジプリザペーションとよんでいます。