インプラント治療前の診査・診断 編

パノラマおよびデンタルX線写真とは?

パノラマX線は、歯だけではなく鼻腔、上顎洞、下顎管、オトガイ孔など、口の中全体を写すことができるX線です。

デンタルX線は少数の歯について、もっとも鮮明に写すことができるX線です。

CT撮影および被曝線量

CT撮影により、X線画像を立体的にみることができるとともに、血管や神経の位置も正確に確認できるようになりました。

しかし、CT撮影をする上で被曝線量が気になるかもしれません。実際には、医科用CTに比べると歯科用CTの被曝線量は、かなり低い線量です。

診断用模型およびワックスアップとは?

インプラント治療を始めるうえで、歯の型を取り、石膏模型を作って口の中の状態を見ると、最終的に作る歯の位置や形、噛み合わせの状態など、X線写真だけではわからないことが非常によくわかります。

インプラントを骨の中のどの位置に埋入するかを決定するために、模型上でワックスを使って歯の形を作り(診断用ワックスアップ)、シミュレーションを行います。

インプラント治療ができる年齢

インプラント治療を受けることができる年齢を判断するためには、顎の成長が完了していることが関係しています。現在、世界基準で決められている最小年齢は17歳です。

一方で、高齢者であっても、全身の健康状態に問題がなければインプラント治療を受けることができます。念のために、全身的な健康診断を行ってからインプラント治療を受けましょう。

歯周病とインプラント

インプラントの治療前には、歯周病の治療をしておきましょう。歯周病にかかっている状態でインプラントの治療を受けると、歯周病原菌がインプラントにも感染してしまうことがありますので注意が必要です。

歯根の感染とインプラント

インプラント予定部位の隣に、神経を取る治療をした歯がある場合、X線撮影によって、根の先端部分に病巣がないかを検査する必要があります。

もし病巣がある場合は、根管治療をした上でインプラント治療を開始することが望ましいでしょう。

歯ぎしりとインプラント

インプラントは、ものを噛むときに加わる縦の力には強いのですが、揺さぶられる横の力には弱いといわれています。

しかし歯ぎしりの癖が`ある方の場合は、どうしても横の力がかかってしまうことがあります。そのため、ナイトガード(眠っている問に歯や顎に加わる力を和らげるためのマウスピース)を装着して就寝したほうが良いでしょう。

インプラントと噛み合わせ

インプラント治療をするということは、歯がなくなっていることがほとんどでしょう。歯がなくなった状態が長く続くと、隣の歯や反対側の顎の歯がなくなった歯の方向へ移動する可能性があります。

インプラント治療前には噛み合わせの診査も必要になります。

チタンアレルギー

インプラント体の材料のひとつであるチタンに対し、アレルギー反応を示す方は、数多くの論文から極まれであることがわかっています。これは、チタンが不動態被膜という膜に覆われており、金属アレルギーの原因となるイオンが溶け出しにくいからです。

もし心配な場合は、事前に金属アレルギー検査(パッチテスト)を受けてみるといいでしょう。