インプラントへの疑問・不安にお答えします

インプラント治療は安全ですか?

はい、インプラントは安全・安心な治療法です。

インプラントは身体に害のないチタンでできています。

チタンは骨とくっつく(結合する;オッセオインテグレーション*)性質があり、また生体親和性がよく為害性のない身体にやさしい安全な材料で、整形外科でも骨折の治療などに使われています。現在、主流のインプラントもチタンでつくられていますので安心です。

 

徹底した衛生管理下で治療をおこないます。

歯の治療は清潔な環境のもとで滅菌・消毒した器材を用いておこないますが、とくにインプラントの治療は使い切りの器材を多用するなど、徹底した衛生管理下でおこないます。

 

正確な診断と綿密な治療計画を立て、慎重に治療をおこないます。

インプラントの治療は、まず正確な診断と綿密な治療計画を立て、それに基づいて慎重に手術をおこないます。当院では精密なサージカルガイドを使用しインプラントを埋入します。また、内科的な理由でよリ注意を要する場合は、かかりつけの医師と綿密な連携をとり、麻酔科医による全身状態のモニタリング下で手術をおこないますので、ご安心ください。

*:1965年、スウェーデンのブローネマルク博士によりチタンと骨とが直接結合する現象(オッセオインテグレーション)が発見され、チタンを使用することによってインプラントの成功率は飛躍的に向上しました。

 

 

 

インプラントの治療はどんな先生がいいのでしょうか?

☆話をよく聞いてくれて、わかりやすく説明してくれる先生

患者さまのインプラントに関しての疑問・質問をよく聞いて、ていねいにわかりやすく説明をしてさし上げることは、患者さまの不安を取り除き信頼関係を築くうえで不可欠です。どんな質問にでも時間をかけて、患者さまの立場になってわかりやすい言葉で説明してくれる先生なら信頼できます。

☆インプラント治療のメリット・デメリットについて説明してくれる先生

インプラント治療の良い点ばかりを強調するのでなく、治療に時間や費用がかかることや手術が必要な点などもきちんと説明してくれる先生なら安心です。

☆インプラント以外の選択肢もきちんと説明してくれる先生

ブリッジや取り外し式の入れ歯など、インプラント以外の治療法についても説明して、選択肢を与えてくれる先生なら安心です。

☆時間をかけてしつかりとした診査をしてくれる先生

インプラント治療は人工物を体の中に埋め込むことになりますから、治療の前にさまざまな検査が必要となります。治療の内容によってはインプラントを早めに入れる方がよい場合もありますが、通常は時間をかけた診査が必要なのです。

 

インプラントはどのくらいもちますか?

適切な治療を受ければ、インプラントは通常10数年以上もつことが一般的です。

現在の骨と結合させる方式のインプラントは、スウェーデンのブローネマルク博士によって1965年に初めて臨床応用されました。このインプラントは、その後約40年、患者さまがお亡くなりになるまで機能していました。そして、現在広く使われているインプラントは骨としっかりくっつく純チタン製ですので、生着率も飛躍的に向上しています。5年または10年経過した時点で95%以上の生着率がほとんどです。このように、適切な治療を受ければインプラントが長くもつことは、証明されているのです。

しかし、お口のお手入れのでき具合などによって、インプラントがもつ期間は変わってきます。

インプラントそのものはチタンでできているので、むし歯になることはありませんが、毎日のお口のお手入れがきちんとできていないと、天然の歯と同じようにインプラントの周りに炎症が起きて、インプラントの除去に至る場合もあります。つまり、お口のお手入れのでき具合によって、インプラントのもつ期間が変わってくるのです。また、喫煙の有無もインプラントがもつ期間に関係します。非喫煙者のほうが喫煙者よりもインプラントが長もちするといわれています。さらに咬む力もインプラントがもつ期間に影響してきます。あごの筋肉が発達して咬む力の強い人、歯ぎしり・くいしばりのある人は、インプラントが壊れることもまれにあります。これを防止するために、「ナイトガード」といわれるマウスピースを夜間つけていただくことがあります。

 

インプラントの手術は痛いですか?

麻酔をしますので、手術中の痛みはありません。

インプラントの手術はしっかりと麻酔をしておこないますので、手術中に痛みを感じることはほぼありません。

手術後2~3日は多少痛みが出たり腫れたりする場合もありますが、普通の抜歯と同じくらいの痛みで、痛み止めのお薬を飲めば大丈夫です。場合によっては、腫れ止めのお薬などを併用することで、より手術後の痛みをコントロールしやすくなってきています。

インプラントはどんな仕組みになっているのですか?

人工の歯の根であるインプラントを骨の中に埋め込んで、それにかぶせ物をして歯をおぎなう仕組みです。

インプラント治療は、歯肉の下の骨の中にインプラント(インプラント体)と呼ばれる人工の歯の根を埋め込んで、その上にかぶせ物(人工の歯)をすることによって歯をおぎなう治療法です。そのため、インプラントは「人工歯根」といわれることもあります。多くのインプラントシステムは、①骨の中に埋めるインプラント、②かぶせ物の土台となる部分(アバットメントと呼ばれます)、③かぶせ物部分、からなっています。

インプラントは、歯が1本だけないケースからすべての歯がないケースまで、ほとんどのケースに対応できます。

「歯がない」と一口に言っても、いろいろな場合があります。歯が1本だけない場合から数本の歯がない場合、すべての歯がない場合まで、また前歯がない場合、奥歯がない場合など、いろいろなケースがあります。インプラント治療は、これらほとんどすべてのケースに対応できる治療法です。

インプラントの利点?

1,良く咬むことができます。インプラントは直接あごの骨に植えられますから、自分の歯に近い感覚で咬むことができます。

2,入れ歯やブリッジに比べて、見た目が自然で発音もしやすくなります(審美的でしゃべりやすい)。

3,隣の健康な歯を削らずにすみますから、残っている自分の歯の寿命を延ばすことができます。

4,咬んだときに、残っている歯にかかる力の負担を小さくしてくれます。

5,形が天然の歯に似ているので、入れ歯やブリッジに比べてお口のお掃除がしやすくなります。

インプラントの欠点は?

1,インプラント治療は健康保険の適用ではありません。治療には専門的な知識、技術が必要であり、さらに通常よりも精度の高いかぶせ物や上質の材料が必要となります。またインプラント手術は、衛生管理の面で安全性を徹底するために使い切りの器材を多用します。以上のようなことから、インプラントの治療費は比較的高額になります。

2,治療期間が他の治療に比べて長くかかります。治療期間は最短でおおよそ4か月から半年ほどで、インプラントの本数が多い場合や骨を増やす処置もおこなう場合などでは、1年以上になることもあります。

3,外科的な治療(手術)が必要になります。しかし、最近のインプラントの治療は患者さまの身体に負担をかけずにできるようになっていますので、ご安心ください。

入れ歯との違いは?

入れ歯(義歯)には、次のような利点があります。

①健康保険でも作れる。

②短期間でできる。

③他の歯をあまり削らないで作ることができる(ブリッジとの比較での利点)

しかし、入れ歯の場合、支えとなる歯が入れ歯とともにゆすぶられてぐらついたり、入れ歯に接する歯が非常にむし歯になりやすいという傾向があります。

では、インプラントと入れ歯との違いを考えてみましょう。

①インプラントは健康保険でできませんが、入れ歯は健康保険でもできます。

入れ歯の場合は、材料や作り方によっては健康保険の適用を受けることができます。

②インプラントは隣りの歯を削る必要がありませんが、入れ歯は隣りの歯を削る場合が多いです。

部分入れ歯の場合はバネをかける都合上、歯を削らなければいけないことが多いです。特に精密な入れ歯になるほど削る量が増える傾向にあります。

③インプラントの装着感は自分の歯とほぼ同じ感覚ですが、入れ歯の装着感は良いとはいえません。

入れ歯は残念ながら装着感や見た目、発音(発語)が良いとはいえません。それに対してインプラントは装着感、見た目、発音ともに自分の歯とほば同じにすることが可能です。

④インプラントは自分の歯とほぼ同じ食べやすさで食事を楽しめますが、入れ歯は咬む力も弱く食感も鈍くなります。

入れ歯になると自分の歯の20~30%の力でしか咬み切れなくなってしまい、味覚や食感も鈍くなりますが、インプラントの場合は自分の歯とほば同じ力で咬むことができるので、食生活を変える必要はありませんし、食事が楽しくなります。

⑤インプラントはきちんとお手入れをすれば骨や歯肉の減少を防げますが、入れ歯は防げません。

インプラントの場合、毎日のお口のお手入れをきちんとおこない定期的にメインテナンスを受けていれば、骨や歯肉が減るのを予防し、長くインプラントをお使いいただけます。これに対して、入れ歯を入れていると徐々に骨が減っていきます。ですから、何回も裏打ちをしたり、作り直しが必要です。この骨の減少は定期的に検診をしても予防できないことが、インプラントとの大きな違いです。

ブリッジとの違いは?

ブリッジには、次のような利点があります。

①健康保険でも作れる。

②短期間でできる。

③外科的な治療は基本的に必要でない。

しかし、ブリッジの場合、構造的に決定的な欠陥として、負担の大きくなった支えの歯がむし歯になりやすく、しかもそれに気づくのが遅くなって抜歯になってしまうことが多々あります。

では、インプラントとブリッジとの違いを考えてみましょう。

①インプラントは健康保険でできませんが、ブリッジは健康保険でもできます。

ブリッジの場合は、治療方法や材料によっては健康保険の適用を受けることができます。

②インプラントは隣の歯を削る必要がありませんが、ブリッジは隣の歯を削らなければなりません。

インプラントとブリッジの一番の違いは、インプラントでは両隣の歯を削る必要がないことでしょう。歯は削られれば削られるほど、その寿命が短くなります。歯を削らないですむインプラント治療は、周囲の歯を守ることになるのです。

③インプラントは周りの歯に負担をかけませんが、ブリツジは支えになる歯に負担をかけてしまいます。

ブリッジの場合、ブリッジの橋の部分(ポンティック)にかかる力は、支えになる歯が負担することになります。インプラントの場合は、インプラントも力を負担しますので周囲の歯の負担が少なくなり、お口全体の歯を守ることにもつながります。

④インプラントの装着感は自分の歯とほぼ同じ感覚ですが、ブリッジの装着感は良いとはいえません。

ブリッジの場合、ポンティックの下部と歯肉との間に隙間ができて食べ物が詰まりやすくなったり、内側を舌で触ったときのポンティック特有の形に慣れるまで時間がかかったりする場合があります。それに対して、インプラントは自分の歯とほぼ同じ装着感にすることが可能です。

インプラントの治療期間はどのくらいですか?

最短でおおよそ4か月から半年ほどで、その間1~3週間ごとにご通院いただくことになります。

インプラントの治療期間は、インプラントを入れる場所が上あごか下あごかなどで差がありますが、最短でおおよそ4か月から半年ほどになります。その間は、だいたい1週間から3週間ごとにご通院いただくというケースが一般的です。ただし、あごの骨の量が少ないために骨を造る手術が必要であったり、残っている歯が歯周病にかかっているため治療が必要な場合などは、半年から1年程度治療期間か長くなります。

インプラントの治療が終わったあとは歯医者さんに行かなくていいの?

インプラントを長く使っていただくためにはメインテナンスがとても重要ですので、定期的に通院してください。

インプラントを入れる手術をスタートとすると、インプラントの上にかぶせ物(人工の歯)を装着した時点がまず最初のゴールといえましょう。そして同時にここからがインプラントを長く使っていただくための新たなスタートとなります。なぜなら、インプラントを長もちさせるためには、患者さま白身による毎日のお口のお手入れと、専門家(歯科医師や衛生士)による定期的なメインテナンスが必要不可欠だからです。ここで、歯をなくされた原因を振り返ってみてください。多くの方は、毎日のお口のお手入れが不十分だったため、むし歯や歯周病になって歯をなくされたのではないでしょうか。インプラントが入ったからといって、お口のお掃除が不十分なままだったら、まただめになってしまう可能性が高いでしょう。ですから、インプラントを長もちさせるためには、お口の中のお手入れを毎日きちんとおこない、さらに定期的に専門家のチェックを受けて、ケアしていくことが大切なのです。

インプラントのメインテナンスは、自動車の車検のようなものです。

メインテナンスでは、インプラントの部分がばい菌(歯周病菌)に感染しないように専門的な方法でお口の中をきれいにしたり、磨き残しがなくなるように練習していただいたり、インプラントにあまりに強い力がかかり過ぎないようにチェックしたりします。自動車の車検のようなものだと考えてください。定期的なメインテナンスで、インプラントを長もちさせることができるのです。

 

インプラントもむし歯や歯周病のようになりますか?

むし歯になることはありませんが、お手入れを怠ると、周りの歯肉が炎症を起こしてしまうことがあります。

インプラントは金属でできていますから、むし歯になることはありません。ただし、お口のお手入れを怠ると「インプラント周囲炎」といって、歯周病のように周りの歯肉が炎症を起こしてしまうことがあります。その場合は、歯周病の治療と同じようにインプラントの周囲のお掃除を徹底しておこないます。必要に応じて抗菌薬を服用していただくこともあります。

インプラントの周りに炎症が起こると、最悪の場合はインプラントを除去しなければならなくなることもあります。こんなことにならないようにインプラントを入れたあとは定期的なメインテナンスを受けて、炎症が起こらないように予防することが非常に大切です。

そしてさらにインプラントの治療の前にお口の中の歯や歯肉が将来的に問題を起こさないようにきちんと診査、診断をおこない、治療を進めることも重要です。この段階で、将来のトラブルを防ぐため、あらかじめ歯を抜いておいたほうが長い目で見て良い場合もあります。

すぐにインプラントができますか?

お口の中に何も問題がなければ、すぐにインプラントの手術をおこなうことも可能ですが、歯周病があればその治療が優先されます。

現在、40歳以上の日本人がかなりの割合で歯周病にかかっているというデータがあります。歯周病を治さずにインプラントの手術をすると、インプラントが歯周病菌にいつもさらされることにより骨とくっつきにくくなることが報告されています。幸い骨とくっついたとしても、歯周病菌による影響が常につきまといます。したがって、インプラント治療の前に歯周病の治療を徹底しておこなっておくことが、インプラントの治療を成功させるために非常に大切なのです。

また、歯周病により歯を失って、上下の歯の咬み合わせがずれてしまっていることがあります。このような場合は、歯周病の治療とともに咬み合わせを整えてからインプラントの手術をおこなうことになります。なお、歯周病で歯を失った部分の骨は吸収されて減っていますので、インプラントを入れるのに十分な量がない場合には、手術の前に骨を増やす処置が必要となることもあります)。

あごの骨が少ないと言われましたが、インプラントは可能ですか?

ほとんどのケースで可能です。

現在のインプラントの技術は大変進歩しており、今まではできないとされていたケースでも骨を増やしてインプラントができるようになっています。検査の結果、骨の量が不足していることがわかれば、インプラントの手術の前にあらかじめ骨を造っておいたり、あるいは手術と同時にインプラントの周囲に骨を再生誘導するという技術が近年確立されてきました。これらの技術(サイナスリフト、GBRなど)により、以前であれば不可能とされてきた骨の量が不足している部分にもインプラント治療が可能になってきたのです。

他にも、骨のあるところを最大限利用して斜めにインプラントを入れる方法(イ頃斜埋入)などにより、治療の幅が広がっています。さらに長さの短いインプラントでも従来以上に骨と強く結合させる技法も開発されつつあります。また、インプラントの周囲を丈夫な歯肉で保護するために歯肉の移植をおこなうこともあります。

ケースによって最も適していると考えられるインプラント治療法を選択するには、すぐれた診断能力と技術が必要とされます。担当医とよく相談されるのかよいでしょう。

インプラントに年齢制限はありますか?

健康であれば一般的には年齢制限はありません。

しかし、骨がまだ成長している時期は避けた方がよいでしょう。ですから、個人差はありますが、一般的には骨の成長の終わった18~20歳以降からがインプラント治療の適用になります。

逆にご高齢の方の場合は、健康であれば基本的にはどなたでもインプラント治療は可能です。実際に70歳代、80歳代の方でも安全にインプラント治療を受けていらっしゃいます。

ただし、糖尿病、循環器系のご病気の方など、内科的な理由からとくに慎重な対応が必要とされる患者さまがいらっしゃるのも事実です。そのような患者さまに対しては、かかりつけの医師と綿密な連携をとり、手術中は全身状態を麻酔科医がモニタリングして、安全にインプラント治療をおこないます。また、おタバコを吸われる方、激しく歯ぎしりをなさる方も、治療に際しては注意が必要です。

インプラントを長もちさせるには何が大切ですか?

☆治療前に大切なこと

インプラント治療では、インプラントと骨をしっかりくっつける(結合させる)ことが非常に重要です。しっかりくっつかないと長くもつ可能性が低くなるからです。したがって、まず治療前に骨の量は十分か、歯や歯肉の状態はどうかなど、きちんとした診査、診断をおこなうことが大切になります。その結果、歯周病などの治療が必要となれば、インプラントを入れる前に徹底的に治しておくことが、インプラントを長もちさせることにつながるのです。

担当医から診断結果や治療計画について十分に説明を聞き、納得して治療を受けてください。

☆治療後に大切なこと

「インプラントが入れば、治療は終わり」ではありません。 ここからがインプラントを長く使っていただくための新たなスタートとなります。もう一度、原点に返って考えてみてください。多くの方は、毎日のお口のお手入れが不十分だったため、むし歯や歯周病になって歯をなくされたのではないでしょうか?以前と同じように磨いていては、まただめになってしまう可能性が高いでしょう。インプラントを長くお使いいただくためには、お口のお掃除を毎日ていねいにしっかりとする必要があります。そして、定期的に歯科医院に通っていただいてメインテナンスを受け、お口の状態をチェックすることが不可欠です。

インプラントを長もちさせるには、お口のお手入れをきちんとしようという患者さまご自身の意志が何よりも大切なのです。