デンタルフロス

デンタルフロスで歯に隙間ができる?

「デンタルフロスを使うと、歯に隙間ができるんじゃないですか?」と言われました。実際どうなのでしょうか?

適切に使えば、デンタルフロスで歯に隙間ができることはありません。

デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具を適切に使用する場合、「歯に隙間ができる」ことはありません。しかし、デンタルフロスや歯間ブラシを使用する際には、その使用方法について十分な指導が必要です。過度な力による清掃や、誤った方向から無理に器具を挿入するような方法では、歯の磨耗、移動、あるいは歯肉への外傷による退縮にともない、「歯に隙間ができる」あるいは「隙間ができたように見える」可能性は否定できません。

一方で、デンタルフロスや歯間ブラシを使用しない場合のほうが「歯に隙間ができる」原因につながります。デンタルフロスや歯間ブラシの使用が歯周病やう蝕のリスクと関連しているからです。

歯周病は、歯肉の退縮や歯の移動の原因となり、結果として「歯に隙間ができる」ことになります。適切なデンタルフロスの使用は歯周病のリスクを下げます。一方、隣接面う蝕は、歯質の欠損や歯の移動の原因となり、こちらも結果として「歯に隙間ができる」ことになります。歯科専門職が行う適切なフロッシングは隣接面う蝕のリスクを下げます

デンタルフロスによる歯周病やう蝕の予防効果については、エビデンスが弱いとの指摘もありますが、最近の研究でもデンタルフロスの予防効果が報告されています。さらに、2016年8月現在、米国歯科医師会などの専門団体は、歯間部清掃の重要性を継続的に支持しています。

ワックスの有無で、デンタルフロスをどう使い分ける?

デンタルフロスの購入する際に、ワックス付きとワックスなしタイプをどう使い分ければよいか、プラークの除去効果に差があるかどうかを聞かれました。どう使い分ければよいでしょうか?

 

口腔内の状況に応じてデンタルフロスを使い分けましょう。

歯と歯の間に付着したプラークは、歯ブラシだけで取ることは困難なため、デンタルフロスの使用が推奨されます。デンタルフロスは、木綿糸とは違って、より上げていないナイロン製の繊維を束ねたものです。歯に押し当てると平板状になって広い面積で歯面に接触することで、プラークを効率よく除去することができます。形状は、細いワックスなしのタイプから太いワックス付きのタイプまでさまざまな種類があります。

一般的には、歯と歯の間に容易に挿入できる細いワックスなしのタイプが勧められます。一方、叢生で歯が捻れている、歯間部に多くの歯石が付着している、不良修復物(辺縁の研磨不足、一部欠損、オーバーハング)がある場合などは、デンタルフロスがほつれて切れやすくなるため、ワックス付きを勧めます。太さによる使い分けとしては、最後臼歯遠心面やポンティック下面には太めのタイプが有効です。

プラークの除去効果については、24人を対象に、ワックス付き、ワックスなしなど4種類のデンタルフロスの隣接面プラーク除去効果を比較したところ、ワックス付きとそうでないものに差はなかったという報告があります。また、25人を対象に3種類の従来型デンタルフロス(ワックスなし、WOVEN[織りタイプ]、shred-resistant[ほつれ防止タイプ])とpowered flosserの隣接面プラーク除去効果を比較したところ、従来型3種類の間に効果の差はなく、powered flosserの効果が優れていたという報告もあります。