歯 ・お口の関連

酸食症 皆さん、大丈夫?!

☆飲食物などに含まれる酸により、歯の表面が溶けてしまう「酸蝕歯(さんしょくしょう)」。

進行すると冷たいものが歯にしみる知覚過敏や、虫歯のような痛みを引き起こします。原因となる酸性飲食物は、炭酸飲料やかんきつ類など、私たちの食生活に深く根付いた身近なものばかり。予防には、食生活の習慣を見直して、過剰摂取や不適切な飲み方、食べ方を改めることが大切です。
「虫歯や歯周病と異なり、酸蝕歯の患者さんには比較的まじめで健康意識の高い人が多いと言われています。体に良いと思った習慣をきちんと続けたことが、かえって歯に悪影響を与えてしまうケースが目立ちます」
☆pH5・5!
酸性の飲食物を摂取すれば、当然のことながら口の中は酸性に傾く。

しかし通常は、唾液が酸を中和して口内を中性(pH7・0)に戻すとともに、唾液に含まれるカルシウムなどが、溶けたエナメル質を修復(再石灰化)してくれるため歯の健康は維持される。
ところが、酸に触れる時間が長い場合や頻度が高い場合、口内が乾いて唾液が少ない場合には、修復が間に合わずに酸蝕が進んでしまう。エナメル質が薄くなって歯が欠け、象牙質が露出して歯が黄ばむ。知覚過敏や痛みなどの症状も現れる。
「エナメル質はpH値が5・5を下回る酸に触れると溶け始める。象牙質はそれより酸性度が低いpH6・4でも溶けてしまう。象牙質が露出すると症状は急速に悪化しやすい」

市販の飲料120種のpH値を測定したところ、実に73%の製品がpH5・5を下回った。調味料やかんきつ類の調査でも、多くがエナメル質を溶かしうるpH値を示した。

 

☆歯質強化を
例えば、コーラ飲料は2・2。アルコール依存や過食症で嘔吐を繰り返すと、強酸性の胃液(pH1・0~2・0)が原因で酸蝕歯になることがあるが、コーラ飲料のpHは胃液の値にかなり近い。栄養ドリンクも2・5と高い酸性度。黒酢飲料は3・1、スポーツドリンクは3・5だった。
治療には、薬剤で歯の再石灰化を促す方法や、合成樹脂を詰めて欠損部を修復する方法が取られる。また、ミネラルパックも効果的です。しかし、何より大切なのは予防です。

 「炭酸飲料を頻繁に飲むなど、歯が酸にさらされやすい習慣は改めるべきです。乳幼児にジュースを哺乳瓶で与え、そのまま寝かしたり、ワインをちびちび飲んだりするのもリスクを高めることになります」

☆対策として

①酸性飲食物の摂取後は水やお茶で口をすすぐ

②軟化した歯が削れるのを防ぐため、摂取後30分は歯磨きを控える

③デンタルガムやフッ素入りの歯磨き剤で歯質を強化する―などを勧めている。

④定期的な歯科医院での検診を受け、自己判断せずに適切な治療や指導を受ける

深刻な先天性欠如歯は早期治療が大切!

永久歯が生え替わる時期になっても一部の歯が生えてこない。そんな先天性欠如歯の人は珍しくありません。形成異常の一つで病気で有りませんが、永久歯の数が足りないと、噛みあわせや顎の成長などに影響が出る場合が指摘されています。

日本小児歯科学会の調査によると、7歳以上の子ども1万5544人のうち、約1割にあたる1568人は永久歯が1本以上足りなかった。第二小臼歯と側切歯がない場合が多く、乳歯が足りない子どもも0・5%程度いた。

日本大学歯学部歯科矯正科 田村隆彦先生によると、「先天性欠如歯は遺伝的要因が強く、初期から歯の原基が形成されないか、原基が形成されていても、発熱や服薬など何らかの原因により形成が阻害されると考えられる。最近では、1~2本足りないというレベルではなく、6本以上足りない人も見受けられます。放置しておくと、歯の間に隙間が空くことに加え、対合歯の異常萌出や、咬みあわせが深くなることで顎関節症に繋がる可能性もある」と注意を促しています。

乳歯が永久歯に生え替わる時期は6~12歳。先天性欠如歯は、本人や家族が気づかないことも多く、虫歯のレントゲン治療で発見されることもしばしばです。深刻なケースでは矯正が必須になることもあり、その後、ブリッジやインプラントなどの治療が必要になることもあります。

早期発見には、現在、レントゲンもしくはCT等での撮影でわかることが多いです。また、ご両親の遺伝的な要因も考えられます。親知らずも同様に生えてこない若者が増えています。是非、小学生時に一度レントゲン撮影を行い、検査し、大人の歯が全部で何本(通常28本)有るが主治医に確認してみて下さい。対応は早めの方が良いと思います。

チーズを食べると虫歯予防!

最新の研究で、チーズを食べると虫歯予防になることが判明した。チーズは口内のアルカリ性を強めて歯の腐食を防ぎ、さらに歯の表面に保護膜を形成するため、虫歯予防になるのだそうだ。特に固めのチーズが良いそうです。ちなみにチーズの虫歯予防の効果は、WHO(世界保健機構)も認めています。

・歯垢のpH値を測定
チーズが虫歯予防になる理由は、チーズを食べることで口内のアルカリ性が強まる点にあるらしい。歯の腐食が進むのは、口の中が酸性の状態の時だからだ。

今回の研究を行ったのは、アメリカのAcademy of General Dentistryという研究機関。実験では、12歳から15歳の68人の子どもを3つのグループに分け、各グループにチェダーチーズ、砂糖無添加のヨーグルト、牛乳を飲食してもらった。飲食後、口をゆすいでもらったのち、歯の表面に付着している歯垢のpH値を測定した。

・歯垢のアルカリ性がどんどん強くなる
歯垢のpH値は、実験前と実験10分後、20分後、30分後と4回にわたって測定し、値の変化を調べた。その結果、ヨーグルトと牛乳を摂取した子どもは計測した4度のpH値に変化が見られなかった。しかし、チーズを食べた子どもは食後にpH値が高まる、つまりアルカリ性が強まるという結果に。さらに食後、3度の計測の度にアルカリ性が強まっていったのだ。

・歯の表面に保護膜
研究者の意見では、チーズはpH値を調整する役割をもつ唾液の分泌を促進するため、アルカリ性が強まるのではないかとのことだ。さらに、チーズを食べると歯の表面に保護膜が作られ、歯のエナメル質が腐食するのを防ぐ効果もあるとのこと。歯を守ってくれるチーズの力、すごいですね!

ケガで抜けた歯は、元に戻ります!

ケガ・事故等で歯が抜けたり 折れたりしても30分以内の治療でもとに戻る可能性が大きくあります。(*30分以上経っていても治療する価値はあります。希望を捨てず 是非 来院を!)

歯の根ごと抜けた歯は冷たい牛乳に入れるのがベストです。(牛乳の中では6時間程度 歯の周りの細胞が生きています!) 牛乳がなけれは口の中のほっぺに中に入れてください。乾燥や過度に洗うのはやめてください、歯の周りの大切な細胞が死んでしまいます 注意が必要です。みしま歯科医院7条院 電話:0126-23-7733

たばこと虫歯の関連性!

突然だが想像してみてほしい。
街中では禁煙、分煙が進む中、家庭でも実践できていますか。

たばこが健康に及ぼす影響の大きさは広く知られていますが、家族が吸うたばこの煙にさらされたこどもは、家族に喫煙者がいないこどもに比べて、3歳までに虫歯になる可能性が2倍になったという研究結果が発表されました。

研究は京都大学の川上浩司教授と田中司朗准教授らのチームによって行われ、神戸市で2004年~2010年に生まれた7万6920人のデータをもとに解析されました。その結果、家族に喫煙者がいるこどもは55.3%、家族に喫煙者がいないこどもに比べて虫歯になる可能性は1.46倍であることがわかりました。特に、こどもの面前でたばこを吸う環境の場合は2.14倍にも高まっています。

 

「受動喫煙」として、たばこを吸う本人だけではなく、近くにたばこを吸う人がいることで吸わない人にも害が及ぶことは良く知られるようになりましたが、少なくともこどもの面前で吸うことは控えるのが望ましいと言えるでしょう。

虫歯予防の新ルール!

虫歯予防の進化

■従来の虫歯予防の考え方
虫歯になるまでのプロセスとは、虫歯菌などの塊であるプラークが歯の表面に付着し、歯の表面に穴を開けるというものです。このまま放置すると歯に穴を開けて虫歯になるため、プラークをなるべく早く歯ブラシでブラッシングして機械的に除去(できれば食事の後3分以内)というものです。歯の表面に付着したプラークをどれだけ取り除けるのかに重点をおいた虫歯予防法です。

■新しい虫歯予防の考え方
従来のプラーク除去法に加えて、口腔環境の時間的経過や変化をふまえて行なう虫歯予防法です。食事をすると口の中や歯の表面のpHが変化するため、このpH変化を虫歯予防に役立てるというものです。歯磨きも食事の後すぐではなく、1時間程度してからのほうがベターといわれています。

口腔内のpH環境をシンプルにまとめると……

口の中は唾液の中和成分の働き、常に中性付近を保とうとしますが、単純にいうとpHが酸性になると歯の表面からミネラル分が溶け出して歯を溶かし、アルカリ性になるとミネラル分が沈着して歯石が増えるようになります。

どちらかに一方的に傾いてしまうと問題が起こりますが、時間とともに唾液が自然に中和してくれます。さらに酸性状態から中性に戻ろうとする場合には溶けた歯の再生が行なわれます。ちなみにエナメル質が溶けるのは、pH5.5以下がおおよその目安といわれています。

酸性で歯が溶けるといっても1日単位では歯の表面がわずかに脱灰される程度。全く心配はいりません。しかし長期間に渡って中性に戻れないような状態が続くと、歯の表面が酸で徐々に溶かされてしまう酸蝕症になります。酸蝕症はプラークが付着していなくても歯が溶けてしまう状態なのです。

食後は酸性のダブルパンチ

酸性の食品を口にすることによって、直接的に歯が溶かされる酸蝕症。でも大事なことを忘れていませんか? それは虫歯の原因プラークです。実はプラークも栄養源となる糖などを元に酸を産生します。この酸で歯に穴をあけて虫歯を作っていくのです。

このため食事の後は食品自体のpHと糖などを分解してプラークが作り出す酸によって、歯には過酷な酸性環境に陥りやすくなります。すぐに唾液が中和を開始しますが、一度酸性に傾いた状態を中性まで回復するには数時間必要と考えられています。特にプラーク内部は中和成分である唾液がなかなか入り込むことができないため、酸性状態が続きやすく、プラークが歯に付着していると虫歯になりやすいといわれるのはこのためです。

チョコレートより危険な「だらだら食べ」

「唾液」の力によっておこなう再石灰化とは、酸性環境で歯の表面から溶け出してしまったミネラルが補充されて、歯が再生されることです。それは食事と食事の間隔が長いほどしっかりと行なわれますが、再生にかかる具体的な時間は、まだしっかりとしたエビデンスがありません。

チョコレートを食べても再生までの時間をしっかり与えれば、問題は起こりませんが、食後の酸性ダブルパンチがいつまでも続くような、ジュースや甘い物、スナックなどの「だらだら食べ」は、歯に酸のダメージが蓄積されてしまいます。しかもだらだら食べたあとに歯磨きをすると、酸によって柔らかくなっている歯を歯ブラシの毛先で傷をつけるトリプルパンチとなります。

これからの歯のケアは、目で確認できるプラークのほかに酸の影響もイメージすることをオススメします。

歯の応急処置の失敗ワースト5!

第5位 ブラッシングのやりすぎ

腫れた歯ぐきをしっかり磨いたら、腫れが落ち着いたという経験があった人に多いようです。腫れた原因を歯の周囲の汚れだと決めつけてブラッシングをやりすぎたため、炎症が落ち着くどころかさらに歯ぐき表面に傷を作ってしまうというケースです。

炎症部分に傷を作ることで痛みはさらに増して、実際には腫れが落ち着いたとしても、傷が残っているためになかなか痛みがなくならずに、さらにブラッシングを続けて状況を悪化させます。

確かに歯周病が悪化した場合にはブラッシングは効果的ですが、同時に噛み合わせの調整が必要だったり、歯周病以外の歯の根の病気であった場合には、応急処置として過度なブラッシングはあまり効果的ではありません。

第4位 入れ歯を自分で調整

入れ歯はプラスチックと金属製の止め金具で出来ているため、当たって痛みが出れば、プラスチック部分を自分で削って合わせる必要があります。歯科医院で調整風景を目にしたからか、自分で入れ歯をリューターやヤスリなどで削ったりする人もときどき見かけます。

しかしそのほとんどが、最終的には自分で調整しきれずに歯科医院に駆け込むことが多いのも事実です。簡単に見える入れ歯の調整ですが、調整は非常に難しく高度な技術が必要なため、自分で削ると見当違いの部分を削ってしまうか、ほとんどが削りすぎでガタガタになってしまうことが多いのです。

あまりに削りすぎた場合には、結局は作り直しとなります。入れ歯が当たって痛い原因は、噛み合わせの力からくることも多いため、歯の形態をまず調整してから入れ歯を調整しますが、噛み合わせの調整は専門家でも難しいのです。

部分入れ歯では、金具で歯に固定する「クラスプ」という金属の針金のようなものがあります。入れ歯が外れやすくなったときは、この金具を調整してきつくして外れにくくすることが一般的です。そのため単に針金を曲げるだけなら簡単に自分で調整できそうに思えます。しかしこの調整は本当に微妙です。金具がきつくなるどころか、入れ歯そのものが二度とはまらなくなることも。プロでも曲がったかな? と感じた時は、すでに曲げすぎだと考えなければならないほどなのです。

入れ歯の調整は、歯科医院で調整すれば、自分で泥沼に入り込むよりは、はるかに短時間で修正が可能です。必ずかかりつけの歯科医院で調整してもらうようにしましょう。

第3位 腫れた歯ぐきの冷やしすぎ

親知らずを抜歯した際などで腫れることがあります。腫れがひどくなるとついつい保冷剤なので冷やしたくなるのですが、過度な冷却をしすぎて、腫れが内部でしこりのように硬くなったり、逆に治るのに時間がかかることをご存知でしたか?

もっとも、腫れているときに患部を温めるなんてことは論外。でも逆に冷やしすぎも腫れが引くのに時間がかかると思ってください。熱を持っている部分を濡れたタオルで軽く冷やす程度にする方が安心です。それ以外の膿が溜まって歯ぐきが腫れた場合には、真っ先に行いたいのは、冷やすことより切開を行い膿を出すことです。これは病院でないとできません。

親知らずの抜歯後の腫れは、薬を飲んでお風呂に入らずしばらく安静にしておくことが、腫れを早く治す方法だと思います。


第2位 痛み止めを飲み続ける

歯の痛みを落ち着かせる応急処置で真っ先に考えることといえば「痛み止め」の服用ではないでしょうか? しかし歯の痛みは歯の内部の神経を直接刺激することが多いため、痛み止めを飲んでも意外に効きにくいことが多くなります。さらに噛み合わせの力が加わるため、炎症を起こして敏感な神経を噛み合わせとの(炎症+機械的刺激)ダブルの痛みが発生します。

そのため、薬が効果的なのは、初期の歯の痛みのときだけで、そのまま痛み止めでごまかしきれない所まで薬を飲み続けると、治療の際に麻酔が効きにくくなるほど炎症が進行してしまうなど、あとで苦労することがあります。

薬が効きにくいと感じたら、なるべく早く本格的治療を行うことをおすすめします。歯に関しては痛み止めを服用するよりも、噛み合わせを調整したり、神経を取るなどの治療を行う方が確実に痛みが早く取れて楽になると考えてください。

第1位 外れた差し歯を接着剤で戻す

歯の応急処置としてもっともトラブルになりやすいのが、取れた金属などを自分で取り付ける行為です。金属や被せ物が取れるというのは、単にセメントや接着剤の問題だけ出なく、噛み合わせの力のかかりすぎや、根の破折などの問題が同時に起こっていることがほとんどです。そのため元に戻しただけで、またすぐに外れてしまいます。

さらに自分で接着するといっても口の中は、唾液にまみれて濡れているため、完全に乾燥させずに唾液が付着したまま接着することになります。その唾液に混じった細菌が金属と歯のスペースに閉じ込まれるため痛みになることもあります。さらにきちんと元に戻らず、わずかでも浮き上がった状態で接着されると、噛み合わせが合わなくなり、取り付けた部分が痛くて噛めなくなります。しかも取り外すこともできない最悪の結果になることもあるのです。

歯の被せ物や金属の取り付けはシビアに考えなければなりません。気軽に自分で戻すことはやめてください。かかりつけの歯科医院などで相談すれば、仮歯や、仮の詰め物など、すぐに応急的な対応をしてもらえるので、自分で戻す前に一度相談することをオススメします。(インターネットニュースより)

「歯」に含まれる化学物質を分析することで病気のリスクを測定できる?!

人間の歯は生後6~8カ月ごろから乳歯が生え始め、やがて永久歯に生え替わります。そんな人間の歯に含まれている化学物質を分析することで、その人がどのような病気のリスクを抱えているのかが測定できると報じられています。

通常は子どもの乳歯が抜け落ちると、そのまま捨てられてしまうことがほとんどです。しかし、ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の研究者であるマニッシュ・アローラ氏は、抜け落ちた歯を人間のサンプルの一種として利用し、病気の早期兆候を見つけ出すという活用方法を開発しました。

アローラ氏は、「人間の歯は、生物学的な記録媒体です。歯を分析することで、その人がどのような化学物質にさらされてきたのかがわかります」と述べています。人間の歯に含まれている化学物質を分析することで、自閉症ADHD、ガンに加えて筋萎縮性側索硬化症といった病気のサインを見つけ出し、早期の治療を行うことができるとアローラ氏は考えています。

特にアローラ氏が注目しているのは、ある程度の年齢になると自動で抜け落ちる乳歯です。髪の毛のおよそ10分の1ほどの細さであるレーザー光を使用して、アローラ氏は乳歯の内部に蓄積される病気のサインをマッピングするという研究を行っています。乳歯のどの場所にどのような化学物質が蓄積されていると、どの程度病気のリスクがあるのかを明らかにすることで、病気を早期発見して治療することに役立てられるとのこと。

アローラ氏はシドニー大学の博士課程に在籍していた時、同僚が知らせてきた「子どもの乳歯に含まれる鉛の量が多いほど、子どものIQは低くなる」という研究に興味をそそられたとのこと。その後、アローラ氏は物理学科と協力してレーザー光などを利用した分析法を開発し、比較的手に入りやすい乳歯から化学物質を検出する手法を考案したそうです。

マウントサイナイ医科大学でアローラ氏は、人間が化学物質にさらされることの影響について研究していました。その最中、自閉症の子どもは特定の化学物質を体内で処理することができず、蓄積されてしまうということをアローラ氏は発見しました。この化学物質処理にまつわる機能不全は妊娠第3週から発生するそうで、機能不全の原因は不明であるものの、体内における化学物質の蓄積は自閉症の早期発見につながるとアローラ氏はひらめいたとのこと。

子どもが自閉症であることが早期に判明すれば、それだけ早く治療を行うことが可能な上、自閉症を抱える子どもに対する素早いケアを実践できます。もちろん、乳歯は勝手に抜け落ちるまで分析することができませんが、研究から得られたデータをもとに血液や尿など、他のサンプルから病気の早期兆候を発見する手がかりになるかもしれません。「生まれ持った遺伝子を変更することはできませんが、その後の環境は病気を発見することで変えられます」とアローラ氏は語りました。

*抜けた乳歯も大切な情報が盛り沢山ですね!三嶋直之

う蝕になりやすいのはなぜ?

「歯磨きも食生活も気をつけているのに、むし歯をくりかえすのはなぜですか?」と聞かれました。どう答えれば納得してもらえるのでしょうか?

う蝕になりやすい口腔環境が人それぞれ異なることを伝えましょう。

口腔内に定着する菌の種類と分布割合は、う蝕感受性(う蝕のなりやすさ)に大きく影響することが知られています。乳酸悍菌は糖質から有機酸を作る力が非常に高く、小高裂溝部う蝕の発症や象牙質う蝕の進行に関与します。

また、ミュータンスレンサ球菌は砂糖(シヨ糖)から有機酸だけでなく、プラークの歯面への付着を強固にする粘性の多糖体を産生し、小高裂溝部に加えて平滑面にもう蝕を生じさせます。つまり、ミュータンスレンサ球菌や乳酸悍菌の菌数が多い口腔内は、う蝕を繰り返しやすい環境にあると言えます。

歯ブラシやデンタルフロスでセルフケアを行った直後は、ミュータンスレンサ球菌や乳酸悍菌の菌数が一時的に減少しますが、口腔内に定着した菌の種類や分布割合を変化させるには至りません。また、毎日の食事から糖質を完全に除くことも困難です。さらに、ハイドロキシアパタイトの結晶の緻密さや歯面が口腔内に露出した後、数年をかけて得られる酸への抵抗性唾液の流出量や酸緩衝能など、ブラッシングと食生活の改善ではコントロールできない因子も、う蝕感受性に大きく影響します。

口腔清掃の徹底と食生活習慣の改善は多くの症例で有効ですが、う蝕を再発する傾向が高い場合は、う蝕リスクを多角的に評価したうえで、患者さんによる毎日のセルフケアとともに、歯科医院での定期的な予防処置が重要となります。

 

ミュータンスレンサ球菌の母子伝播を防げば、子どもはう蝕にならない?

出産を控えた方から「むし歯菌は母親から子どもに移ると聞きますが、むし歯菌を移さないようにすれば、子どもはむし歯になりませんよね?」と聞かれました。どう答えればよいでしょうか?

完全に防ぐことは難しいため、少しでも感染・定着する菌量を減らす努力をしましょう!

う蝕は口腔内細菌によって引き起こされる感染症であり、主な原因菌であるミュータンスレンサ球菌の遺伝子型が母親と子どもで同一であることが報告されています。保護者が子どもに口移しで食べ物を与える、唾液の付着した箸や歯ブラシを共有するなどの行為で感染が起こると推察され、完全に子どもの口腔内のミュータンスレンサ球菌をゼロにすることは難しいと思われます。

また、ミュータンスレンサ球菌の口腔内への定着は、主に生後19~31ヵ月の間に起こるといわれています。特にこの時期は、子どもの口腔内だけでなく感染源である保護者の口腔内を清潔に保ち、子どもに与える砂糖を減らすことで、感染・定着する菌の量を減らす努力が肝心です。

う蝕は多因子性の疾患であることから、ミュータンスレンサ球菌の感染予防だけでなく、歯科医院や家庭で実践できるフッ化物応用適切な食生活指導正しいブラッシング(仕上げ磨き)を組み合わせることが大切です。妊娠期から母親がキシリトールガムを噛むとミュータンスレンサ球菌の感染率が減少するという報告もあるため、取り入れるのも有効です。

歯の表面にステインが付着するのはなぜ?予防法は?

毎日歯を磨いている方でも、歯の表面に黒ずみ汚れ(ステイン)が付着するのはどうしてでしょうか? また、着色を防ぐコツはあるのでしょうか?

ペリクルが色素を吸着するためです。予防には、美白歯磨剤を使うのもよいでしょう。

歯の表面は、唾液由来の糖タンパク質を主成分とする「ペリクル」という薄い膜に覆われています。このペリクルは、飲食物などに由来する色素を吸着する性質があります。特に歯ブラシによる清掃が困難な部分では、歯の表面の微細な凹凸に色素が徐々に蓄積していくことによって、ステインの付着が起こります。

ステインの付着を起こしやすい飲食物には、ポリフェノールの一種であるタンニンを含む赤ワイン、紅茶、コーヒーなどが挙げられます。その他の着色の原因には、タバコに含まれるヤニ(タール)の沈着や、抗菌剤であるグルコン酸クロルヘキシジンを含む洗口液の長期使用によるものがあります。

ブラッシング時に美白歯磨剤を継続的に使用することは、ステインの除去や付着抑制に一定の効果があると報告されています。歯磨剤に含まれる清掃剤(研磨剤)が歯の表面の汚れを擦り落とします。清掃剤としては炭酸カルシウムやパーライトなどが使用されます。最近の歯磨剤では、清掃剤の量や粗さを調節して、歯や歯肉を傷めないようなくふうがされています。また、ステインの除去効果を高める目的で化学成分を付加した歯磨剤も市販されています。

小児の歯頚部にみられる黒い沈着物は何?

小児で、全顎的に歯頚部の黒い沈着物を認めます。う蝕はありません。お茶はよく飲ませているようですが、飲食物が原因とは考えにくいです。着色の原因と、その為害性について知りたいです。

Black stainと呼ばれる色素沈着で、審美性以外の問題は特にありません。

各国で小児の約2~20%にみられると報告されている“Black stain“と呼ばれる色素沈着の一種です。 Black stainの沈着メカニズムは完全には解明されていないものの、口腔細菌や唾液性状が関与していると考えられており、黒い色は細菌により産生された硫化鉄に由来するとされています。

Black stainがみられる小児では、プラークや唾液中の色素産生能をもつActinomyces属菌やPrevotella属菌の比率が高いことがわかっています。この小児も う蝕はないとのことですから、う蝕に関連する菌よりもこれらの細菌が優勢なのかもしれません。う蝕が少ないというのはBlack stainがみられる小児の特徴です。

 Black stainがみられる小児では、唾液中のカルシウムやリンの濃度、唾液緩衝能が高いことも報告されており、このような細菌叢と唾液の特性が、「う蝕が少ない」という傾向に寄与するのではないかと推測されています。

 Black stainは、成長するにつれて自然に消失することがほとんどです。口腔疾患を引き起こすことはありませんが、審美的な問題はあります。セルフケアのみでの除去は困難ですので、定期的に専門的機械的清掃を続けてください。

こどもの口がにおうのは何が原因?

「子どもが友だちから『口が臭い』と言われています。食べ物が原因なのでしょうか?」と相談を受けました。どう答えればよいでしょうか?

食べ物のほかに口腔清掃状態と口呼吸の影響が考えられます。

口臭は、にんにくなどの食べ物で生じることがありますが、一時的なものです。持続する口臭であれば、原因は、口の中に棲みついている細菌が産生するさまざまなにおい物質です。その中でも主な口臭の原因と言われているのが、揮発性硫黄化合物(VSC)です。

VSC濃度は、プラーク付着量との間に正の相関があることから、口腔清掃状態は口臭に関係していると言えます。

成人の場合、歯周病の存在により口臭が強くなりますが、子どもの場合は、口呼吸の存在が口臭を生じさせると言われています。口で息をすると口腔内が乾燥し、唾液による自浄性が低下します。それにより細菌の増殖が進み、におい物質が産生されるのです。近年、子どもの口呼吸が多いと言われていますので、口臭のある子どもの保護者には、日常的に子どもの口が開いていないか、口で息をしていないかを確認してみましょう。

子どもの口臭は、においの強い食べ物の一過性の影響を除けば、口の清掃状態や口呼吸が原因と言えます。口を閉じて鼻呼吸を心がけ、口腔清掃をていねいにするよう指導しましょう。口呼吸の原因として鼻疾患が疑われる場合は、専門医の受診を勧めましょう。

舌苔はそのままにしていても大丈夫?

「舌苔が付くのはなぜですか? 舌苔はとったほうがいいですか?そのままにしていても大丈夫ですか?」と聞かれました。どのように答えればよいでしょうか?

体調に応じた舌苔の清掃をおすすめします。

舌苔が口腔内の他の部位への細菌供給源となることや、舌苔の付着が口臭産生の原因となることが知られています。口臭予防のためには、舌苔を清掃したほうがよいでしょう。ただし、完全に除去することは不可能ですので、清掃が過剰にならないように注意しましょう。また、舌清掃には歯ブラシではなく舌専用の清掃器具で行う必要があるでしょう。

舌苔は、剥落した粘膜上皮細胞、口腔細菌、食漬、血球などからできています。唾液分泌量の減少などにより舌苔の付着は増大し、口腔の健康状態や全身の健康状態によっても影響されます。

健康な人でも薄い舌苔が全体に付いていますが、ファイバースコープによる胃粘膜の観察で、胃炎などの症状が進行している時には舌苔は多くなるというような関連があることが指摘されています。つまり、消化管が弱って栄養の吸収状態が低下している時に舌苔の付着が多くなることがあるのです。消化管が弱っているときには粘膜の再生能力も低下していると考えられることから、過剰な清掃によって舌が傷つけられる可能性が高くなります。

舌苔の付着は生体反応のひとつであると捉え、付着しているから必ず除去するのではなく、状況に応じて慎重に対応することも必要でしょう。

摂食障害による口腔内への影響は?

代表的な摂食障害として、神経性食欲不振症(拒食症)や神経性過食症(過食症)が挙げられます。拒食症は思春期や若い女性に多く、歪んだボディーイメージや過度の食事制限の結果引き起こされる過大な体重減少が特徴です。食事を制限するタイプとこれに過食と排出行動(嘔吐など)をともなう夕イプに分類されます。過食症は過食と排出行動が特徴ですが、拒食症と違ってやせには至りません。

嘔吐をともなう摂食障害の人に見られるもっとも一般的な症状は、酸蝕症です。口腔内に逆流した胃酸を含む内容物により歯のエナメル質の脱灰を生じるため、飲食物による酸蝕症とは発症部位がやや異なります。主に、歯の舌・口蓋側と咬合面(早期には上顎口蓋側と咬合面)に認められます。ただし、カロリー摂取量を抑えるために、柑橘系の果物を過度に食べている摂食障害の人では、酸蝕症が唇側や頬側に多かったという報告もあります。

また、繰り返す嘔吐や過度な食事制限によって唾液分泌が低下すると、唇が乾燥してひび割れたり、口腔内の灼熱感(特に舌)があったり、耳下腺の肥大などが起こったりします。その他には、過度な食事制限を行う人では、ビタミンC欠乏による歯周疾患増悪の可能性が指摘されたり、嘔吐を繰り返す人では、顎関節への負担過重による筋肉痛が報告されたりしています。

摂食障害とう蝕の関連については、多くの研究において報告されていますが、一方で対照群と比べて差はなかったという報告もあり、現状でははっきりしたことは言えません。