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旧未分類 | 2008年04月29日

歯の再生治療:数年以内に象牙質の再生実現?

詰め物を使った虫歯の治療は1840年代から行なわれてきた。だが、歯を再生するという新しい技術によって、今後10年間で歯科医の仕事が一変する可能性がある。
今度わが子が虫歯になったら、詰め物を入れられる代わりに、歯を再生してもらえるかもしれない。材料科学を専門とする研究者たちが、穴をただ塞ぐのではなく、虫歯になった歯の再生が可能な化学溶液を見つけようとしているからだ。
現在は、虫歯治療に金やセラミックの詰め物が使用されているが、将来は、もともと歯を構成しているエナメル質と象牙質が、これにとって代わることになるようだ。
「われわれが目指しているのは、(虫歯を)早期に発見し、[歯を構成する]無機質を補給することだ」と、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のSally Marshall教授は言う。Marshall教授は、3月24日から28日(米国時間)にかけて開催された『先進材料学会』(Material Research Society)の春季会議で、歯の内側の部分の再生について講演した。
『Journal of Structural Biology』誌に発表されることが決まったMarshall教授の最新研究は、カルシウムを含んだイオン(電荷を帯びた粒子)溶液を利用して、損傷した歯の象牙質を再生することをメインテーマとしている。
Marshall教授は、被験者の歯にこの溶液を塗り、すでに歯の一部については無機質の補給に成功している。課題は、象牙質全体で無機物の結晶を再生させることだ。歯を適切に治療するには、歯根からエナメル質まで結晶が形成される必要がある。
そこまでの現象はまだ確認できていないものの、Marshall教授は、2、3年以内に象牙質の機能を回復する方法を見つけられると確信している。
Marshall教授をはじめとする研究者たちの取り組みにより、歯が、小さいながらも非常に複雑な仕組みを持っていることが明らかになっている。最近になって進展があったとはいえ、Marshall教授が開発した治療術を近くの歯科医院で受けられるようになるのは、もう2、3年先の話になりそうだ。
「象牙質とエナメル質の両方を再生可能になるまでには、まだ遠い道のりだ」とBayne教授は述べた。
[日本語版:ガリレオ-矢倉美登里/長谷 睦]