インプラントとは
一般にむしばが深く歯根まで進行したり、重度の歯周炎、歯根の破折などの理由で抜歯に至った場合、図Aに示すように歯肉が少しへこんだように治癒します。このとき、歯根を支えていた「歯槽骨」と呼ばれる骨もある程度高さが回復してくるまで時間がかかります。通常は抜歯してから骨量を守る特別な治療をしないと1年から1年半は歯槽骨がインプラントを支えられるようになるまで待つことがあります。
特別な条件が揃っていると抜歯後1~2ヶ月の後にインプラントを骨の中に入れること(植立といいます)が出来ますが、糖尿病や骨の病気、抜歯された部分の状態などの様々な条件を考慮して植立時期が決定されます。
抜歯した後の骨が治癒してからインプラントを植立します。
インプラントには、
- インプラントを骨に埋め込む手術(植立手術)
- インプラントに歯肉を貫通し、形態を整えるための手術(2次手術)
の 2回の手術が必要なものと、すでに植立手術後の状態で図Dの歯肉が貫通している2つのタイプがありますが、骨の治癒の状態により骨の量を増やす手術をした場合などや、他に疾患があって骨の治癒が遅れがちな方は2回に分けて手術を行う事が多いのですが、詳しくは検査の後、担当の歯科医師によって判断されます。いずれもしっかり局所麻酔を行うことにより、十分痛みなく手術を受けることが出来ます。
2次手術を経てインプラント周囲の歯肉の形が整ったら、冠を支えるための支台を装着します。これに前後してインプラントと周囲の歯の型を取り、冠を製作するための模型を作製します。
歯を失った部分が数歯に渡る場合は、各々のインプラントを冠(上部構造)で連結していきますが、その際の冠の製作は非常に精密な作業を要するため、インプラント専任の歯科技工士が顕微鏡を用いながら細かい作業を行い完成させます。
最終的には図Fのように、隣の歯を削ったりして傷つけることなく、冠を装着して、審美性とかみ合わせの両方を回復することが出来ます。
装着後は、定期的に検診に来て頂きます。状態により一年に数回になることもありますが、インプラントや周囲の歯肉の状態等をチェックし、手入れの仕方を再度練習して頂くこともあります。