アルカリ性食品は口腔内を酸性にしない?|岩見沢市のインプラント歯科医院|みしま歯科医院

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アルカリ性食品は口腔内を酸性にしない?

飲食による口腔内の酸性化がう蝕のリスクにつながると説明した際、「アルカリ性食品だったら口の中は酸性にはならないはずだ」と言われ、説明しきれませんでした。本当にそうなのでしょうか?

アルカリ性食品・酸性食品関係なく、糖を含むものを食べれば口腔内は酸性になります。

酸性食品・アルカリ性食品とは19世紀末に提唱された概念で、体内での栄養素の燃焼を想定し、食品を高温で燃やして生じた灰を溶かした水溶液が酸性であれば酸性食品、アルカリ性であればアルカリ性食品としています。

つまり、食品に含まれる無機陽イオン(ナトリウム、カリウムなど)と無機陰イオン(リン、イオウなど)のバランスで判断され、たとえば、無機陽イオンをより多く含む海藻やお酢はアルカリ性食品に、無機陰イオンをより多く含む肉類や卵は酸性食品に分類されます。

口腔内の環境は唾液の影響を強く受け、pHは6.8~7.2の中性領域に保たれています。食品中の無機イオンが口腔内で唾液に完全に溶出することはなく、その量は微量であることから、食品中の無機イオンによって、口腔内のpHが大きく変化する可能性は低いです。一方、食品自体の酸性度は口腔内に影響を及ぼします。炭酸水や果汁ジュースなど、エナメル質の臨界pHを下回る食品を頻回に摂取すると、細菌由来の酸によらないエナメル質の脱灰を引き起こし、歯の酸蝕症の原因となります。さらに、う蝕に関連する食品側の因子としては、食品中の糖の量と種類、口腔内の停滞性、摂取頻度が挙げられます。甘味菓子など、砂糖(ショ糖)を多く含み、口腔内に残りやすい食品を頻繁に口にすると、う蝕のリスクは高くなります。

以上のことから、説明では、お酢などを例に挙げてアルカリ仕食品と食品自体のpHは一致しないこと、また、口腔の健康には食品自体のpHや糖の含有および性状の影響が大きい点が、ポイントとなると思われます。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之