Q:インプラント周囲炎つてなに?かかったときの対応は?
1,インプラント周囲炎とは、天然の歯に起こる炎症・歯周炎に対応した言葉です。
2,インプラント周囲炎にかかってしまった場合は、歯科医院での治療が必要になります。
・インプラント周囲炎というのは
インプラント周囲炎とは、天然の歯に起こる炎症・歯周炎に対応した言葉です。インプラントはすべて人工物ですが、だったら放置しても変化しない、というわけではありません。インプラント自体は簡単に口の中で溶けてしまったりするものではないですが、インプラントが直接接触している骨と歯肉は細菌の侵襲に対しては弱いのです。インプラントの周囲に細菌が繁殖すると、まず接している歯肉に炎症が起こります。炎症が起こった状態では歯肉の腫れ、出血、場合によっては軽い痛みが生じます。しかしこの時点ですぐに細菌が除去できれば炎症は治まり、もとの健康な状態に戻ります。細菌の除去は歯ブラシやデンタルフロスによって可能です。ですから、正しい細菌の除去法(=プラークコントロール)がなされている必要があるのです。細菌が除去できずに放置されると、炎症はインプラントの生え際からさらに深部へと進行して行きます。歯肉の直下にはインプラントを支える骨が存在しますが、骨の近くまで炎症が進行してくると数段階のプロセスを経て骨を溶かす細胞(破骨細胞)が活性化され、徐々に骨吸収が始まります。最近では、インプラントを埋入するにあたってシビアなケースでも対応できるように、長さが6ミリ以下の製品も発売されています。短いインプラントを使用した場合にほんの少しの骨吸収でも本来期待した状態と比較してリスクが増えると思われます。
・インプラント周囲炎にかかってしまったときは
定期検診や、自分によるプラークコントロールによって日々細菌の増殖は抑えられていると思いますが、もしインプラント周囲炎にかかってしまった場合は、歯科医院での対応が必要になります。
☆軽度の炎症の場合:炎症が軽度である場合は、単純にプラークコントロールの不備にようることが多いでしょう。歯科医院で残存したプラークをチェックしてもらい、より正確なブラッシングやフロスの使用法などを覚えてくださしい
☆中程度の炎症の場合: インプラント表面に歯石が付着してしまっていたり、他の歯の変化によって咬み合わせの状態が変わってしまっていたりすると、中程度まで炎症が進行します。歯科医師による歯石除去、咬み合わせの調整が必要となります。上部構造が欠けたことにより、食べ物がつまりやすくなってしまっている場合もありますので、その場所は補修してもらいましよう。インプラントのインプラント体アバットメントを結合しているネジが緩むこともあります。緩んだ隙間には細菌が繁殖しますので、締めなおす必要があります。
☆重度の炎症の場合: 骨吸収が進んでしまっていることが多いです。骨が吸収していてもインプラントが機能的に問題がなければできるだけ炎症をコントロールして、それ以上の骨吸収をストップさせる必要があります。具体的な方法はその症状によりますが、場合によっては、上部構造をすべて外して歯肉を切開し、インプラント体表面を洗浄して骨の移植を行うこともあります。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之