Q;歯ブラシの毛先の形は.どれがおすすめ?
A:テーパード毛は細部までの到達性にすぐれ、ラウンド毛は歯冠部の清掃効率が高いとされています。特性を理解し、使い分け・併用すると効果的でしょう。
歯ブラシの毛先形状は種々ありますが、大まかに分けると「ラウンド毛」と「テーパード毛」に分けられます。歯ブラシの歴史をたどると、1950年代以降、毛の先端を丸く研磨する先丸加工技術の開発とともにラウンド毛が主流となり、昨今では毛先をさらに細く加工したテーパード毛(極細毛)やスーパーテーパード毛(超極細毛)も広く流通しています。
テーパード毛は、製造法の違いにより「研磨処理毛」と「イヒ学処理毛」の2種類に分けられます。研磨処理毛は、毛を機械的に削ることで先端形状をテーパー状に加工し、化学処理毛は毛の先端をアルカリ溶液に浸漬し毛先を溶かすことでテーパー状にしています。現在、市場で販売されている歯ブラシの多くは化学処理毛が使用されています。
プラーク除去効果を検証した最近の臨床研究によると、ブラッシング圧やブラッシング法など毛先形伏以外の因子をすべて揃えたうえで、研磨処理毛、化学処理毛およびラウンド毛のプラーク除去効果を比較したところ、研磨処理毛とラウンド毛は化学処理毛よりもプラーク除去率が高いことが明らかになりました。その理由として、化学処理毛に比べ研磨処理毛とラウンド毛は研磨加工が施されているため、毛先の表面粗さによりプラークを絡め取りやすくなり、効率の良いプラーク除去ができたと考察されています。
ラウンド毛と比較して毛先の細いテーパード毛は歯頚部や歯間部など細部までアプローチできる反面、毛先の直径が小さくたわみやすいためプラークを掻き出す力は弱いと示されています。 一方、ラウンド毛は細部に到達しにくいものの歯冠部の清掃効率が高いと報告されています。
歯間部などの狭い部分へ毛先が届ぐ到達性”とプラークをしっかり落とす“清掃性”を1本の歯ブラシで両立するのは難しく、タフトブラシなどの補助清掃用具の併用が好ましいです。口腔内状況、磨き心地などの好みに応じて毛先の形状を選択するとよいでしょう。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之