Q;プロテインとう蝕リスクの関連性は?
A:プロテインはタンパク質なので、水などで溶かす場合はう蝕の心配はありませんが、ジュースなどで溶かす場合は注意が必要です。
アスリートにとって、栄養補給のタイミングや種類はトレーニングと同様に大切です。 トレーニング時にプロテインを摂取する目的には、筋カアップ、持久力の保持、運動後の筋肉の回復などがあります。プロテインとは「タンパク質」のことで、「糖」とは違い、ミュータンス菌などのう蝕原因菌が分解し、酸を産生することはありません。すなわち、トレーニング時にプロテインを摂取したからといって、う蝕リスクが高くなることはありません。
しかしながら、「プロテインをフルーツジュースやスポーツドリンクに溶かしてこまめに飲む」という摂取方法の場合には、う蝕リスクを高める可能性があります。フルーツジュースやスポーツドリンクの多くは酸性度が高く、エナメル質の臨界pHである5.5を下回っています。これを頻回摂取すると、唾液の緩衝能による中和反応は追いつかず、口腔内は長期にわたり酸性環境下にさらされ、結果としてエナメル質の脱灰を引き起こします。
また、ミュータンス菌が飲料中に含まれる砂糖を利用してプラークや酸を作り、う蝕を発生させることは明らかです。そのため、プロテインを摂取する際には、水や牛乳、豆乳などに溶かすとよいでしょう。
また、トレーニング中は水分補給とエネルギー摂取を目的として、スポーツドリンクを摂取することが多くなります。 トレーニングが終わってもだらだらとスポーツドリンクを飲むということがないように、メリハリのある栄養補給を心がけるよう指導することが大切です。
トレーニングの効果を上げるためには、タンパク質だけでなく体内でエネルギーとして使われる十分な糖質(炭水化物)の摂取も必要です。 トレーニング前後に摂取する糖質は、バランスの良い食事から摂取するのが理想です。食事を摂る時間がない時には、クッキーやチョコレート、ドーナツなどの砂糖を多く含む食品ではなく、おにぎりやバナナ、麺類などから糖質を摂取するとよいでしょう。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之