☆生活習慣病に関する疑問:Q;高齢者における歯の本数と生活(食事や運動)の関係性は?|岩見沢市のインプラント歯科医院|みしま歯科医院

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☆生活習慣病に関する疑問:Q;高齢者における歯の本数と生活(食事や運動)の関係性は?

Q;高齢者における歯の本数と生活(食事や運動)の関係性は?

A:十分な咬合支持がない場合、タンパク質などの栄養素および野菜類の摂取量が低かったこと、さらに歯数が多い人で運動能力が高い傾向が認められています。

 歯の本数は加齢とともに減少し、日本人の一人平均歯数は、60歳前後では約24本、70歳以降では20本を下回る人が多くなります。歯数の減少は、咬合や咀嚼の機能を低下させ、特に20本を下回り、食事の時にかめない食べ物が多くなると、高齢者では低栄養(BMIが20kg/㎡以下)の危険が増加します。 70歳以上の低栄養傾向の割合は、何でもかんで食べることができる人では15%ですが、かめない食べ物が多くなるにつれて増加します。

 歯数の減少は、食事における食品の選択や栄養素の摂取にも影響します。地域在住高齢者を対象に75歳時点で十分な咬合支持(上下で咬み合う歯のペアが6つ以上ある)の有無で、80歳までの5年間における栄養素・食品群摂取量の変化量を比較した研究では、十分な咬合支持がなかった人では、栄養素ではタンパク質、食物繊維、ミネラル類、ビタミンA・Eの摂取量が、食品では野菜類と肉類の摂取量が有意に大きく減少していました。

 高齢者の歯数と運動習慣との関連については、女性において、散歩やラジオ体操程度の運動が30分未満の人は30分以上の人と比較して20本末満の人が多かったことが報告されています。 80歳の地域在住高齢者を対象に歯数およびかめる食品数と運動能力との関連を調べた研究では、歯数およびかめる食品数のいずれにおいても、多い人で運動能力が高いという傾向がみられました。さらに、かめる食品の数では、全身状態や生活習慣を統計的に調整しても、脚伸展力(静的筋力)や脚伸展パワー(動的筋力)、開眼片足立ち時間(バランス能力)との関連が認められました。

 自分の歯を維持してかめる機能を保つことは、健康的な食事と運動を促進し、高齢期の身体の衰えを防ぎます。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之