Q;ブラッシングやポケット内のプラーク除去で菌血症が起こる?
A:セルフケアやプロフェッショナルケアによる清掃で菌血症は起きます。
細菌が血流内に一過性に存在することが臨床検査によって判明したら、「菌血症」と診断されます。菌血症は以前から感染性心内膜炎の原因として、また、近年では動脈硬化の原因のーつとしても注目されています。
菌血症は抜歯やスケーリング、機械的歯面清掃、歯周ポケットのプロービングなどの歯科治療や検査で誘発されます。さらに、歯科医師や歯科衛生士が行うこれらの行為だけでなく、患者さん自らが行うブラッシング、フロッシング、咀嚼でも菌血症が起こることが報告されています。
以前は菌血症の主な原因として注目されていたのは外科的治療でした。ところが近年では、日々のブラッシングや咀嚼が、口腔細菌による心血管系への繰り返しの暴露に顕著にかかわっていると考えられています。
菌血症の程度は、実施された診療内容で変わります。たとえば、PCRによる細菌検出法で調べた結果、菌血症の発生率は超音波スケーラーによるスケーリングでは23%、歯周ポケットのプロービングでは16%、ブラッシングでは13%であり、これらは従来の報告より低かったとしています。一方、患者の歯周組織の状態も菌血症の程度に影響します。
歯周炎患者は歯肉炎患者あるいは歯周組織が健康な人と比ベて、スケーリング後の菌血症の発生率と血液中の検出細菌数が有意に高かったと報告しています。また、歯周炎患者では、血液中の細菌数と、GI、PI、およびプロービング時の出血部位数との間に正の相関があったと述べています。
出血をともなう歯科治療前の抗生剤の予防投与は、感染性心内膜炎のハイリスク患者には必要です。これに加えて、ていねいかつ徹底したセルフケアやメインテナンスによってブラッシングや咀嚼で簡単に菌血症が発症しない健康な歯周組織を維持することは、心血管系疾患の予防につながることを意識しましょう。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之