フッ化物には象牙質う蝕の予防効果もある?|岩見沢市のインプラント歯科医院|みしま歯科医院

お口の最新情報 TOPICS

フッ化物には象牙質う蝕の予防効果もある?

フッ化物は、エナメル質に対しては、フルオロアパタイトを作ることで耐酸性を向上させてう蝕を予防すると理解していますが、露出根面の象牙質に対しては、う蝕予防効果はあるのでしょうか?

フッ化物は、象牙質に対してもう蝕予防効果が期待されます。

象牙質とエナメル質はともに歯を構成する硬組織で、無機物、有機物および水分から構成されます。象牙質は、エナメル質と比べ有機物と水分の比率が高いという特徴を持っていますが、構成成分の主体をなすのは無機質です。象牙質の結晶粒は、エナメル質よりもサイズが小さいため溶けやすく、結果、耐酸性は象牙質のほうが低くなります。粉砂糖が氷砂糖よりも粒が小さく溶けやすいことと同じと考えればわかると思います。

フッ化物は、根面の象牙質に対してもう蝕予防効果があることが、多くの研究で報告されています。その機序に関しては、歯根象牙質試料を用いた研究において、フッ化物配合歯磨剤や酸性フッ素リン酸ゲルの作用でフルオロアパタイトの生成が起こり、ミネラルの喪失や象牙質の表面硬度の低下を抑制できると、これまでに報告されています。象牙質の構成成分である無機質も、基本的にはハイドロキシアパタイトから成るため、エナメル質に対する場合と同様の機序がはたらくと考えられます。高齢者の露出した根面の象牙質にフッ化物を応用して、象牙質の耐酸性を向上させましょう。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之