口臭予防のための洗口液には、どんな成分が含まれているのでしょうか?
口腔細菌の成育を抑制したり、口臭自体を隠す成分などが入っています。
口臭予防をうたった洗口液は、口臭の主な原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC)を抑えるためにさまざまな成分を入れて作られています。
クロルヘキシジン(CHX)や塩化セチルピリジニウム(CPC)などの抗菌薬は、VSCを産生する口腔細菌の成育を抑制します。ただし、CHXは、アナフィラキシーショックの例があったことから、日本においては口腔細菌の成育抑制に有効な濃度以下に調整されています(原液濃度0.05%以下)。
亜鉛などの金属イオンは、硫黄と結合することによって、非揮発性の硫黄化合物を形成し、VSCを産生させないようにするはたらきがあります。
亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素などの酸化剤は、硫黄含有アミノ酸からVSCが産生されるのを抑える作用があります。
ペパーミントやスペアミントなどの香料は、口臭自体をマスキングする効果があります。これらの成分が配合された洗口液は、短期間および長期間における研究で口臭抑制効果が認められています。
有効成分が配合された洗口液は、一時的に口臭を抑えるのに適していますが、口臭予防の基本はあくまでも口腔清掃による口腔細菌のコントロールです。機械的な清掃が難しい場合は、洗口液での洗口でその効果に期待することもできるでしょう。また、洗口液は、磨き残しの口腔細菌が徐々に増殖して口臭が強くなる傾向かおる昼食前や夕食前の時間帯に使用するのも、有効な使い方の一つと思われます。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之