インプラントってなに?第二の永久歯と言われる訳は?
・歯科でいうインプラントとは、顎の骨に直接埋め込んだ人工物(インプラント体)に歯や入れ歯の支えをさせる治療を指します。
・現在では、チタン製の円柱状のインプラントが主流となっています。
・安全性や安定性、周りの歯や組織に負担をかけないという点、天然歯と同じように機能できるという点から、第2の永久歯といわれることもあるようです。
・インプラントというのは
インプラント(implant)とは、「植え付ける・植え込む」という意味の言葉で、医学用語としては、「移植する・埋め込む」または、「移植された組織・人工物」全般を指す言葉です。
歯科においてインプラントといえば、一般には、顎の骨に直接埋め込んだ人工物に歯や入れ歯の支えをさせる治療を指し、より正確には、「歯の、歯科の」を意味するデンタル(dental)を前に付けて、デンタルインプラントといいます。また日本語で、人工歯根と呼ばれることもあり、これもインプラントのことを指します。
インプラント治療により、虫歯や歯周病などによって抜けてしまった歯の外観と機能を、他の歯に負担させることなしに回復することができるようになりました。
・チタン製の円柱状のインプラントが主流
インプラントの歴史は非常に長く、数々の遺跡から、1000年以上前の人類のインプラントの入ったミイラなどが発見され、インプラントの試みが明らかになっています。インプラント治療は、太古の昔から人類における医療界の大きなテーマだったわけです。現在までに、世界中で試行錯誤が繰り返され、さまざまな材料を用いて、いろいろな形態のインプラントが開発され使用されてきていますが、現在では、チタン製の円柱状のインプラントが最も主流となっています。
・安全性が高いことが大きな特徴
スウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク教授は、チタンが人間の骨と非常になじみがよく、骨と結合することを発見し、オッセオインテグレーションと名づけました。その後、ブローネマルク教授は、膨大な基礎研究を重ね、科学的根拠に基づいた確実性を立証しチタン製インプラントを開発、1960年代半ばより実際に治療に使用を開始しました。
人が物を咬むときの圧力は、人の体重以上にも達することもあるほど大きいものですが、ブローネマルク教授か発見したオッセオインテグレーションによって、天然歯の歯根と同じように機能することができるようになりまし
た。現在のインプラントは、基礎研究がしっかりとなされていて、臨床データも豊富なので、安全性が高いことが大きな特徴です。
・第2の永久歯といわれることもある
インプラントは、治療期間中、および治療がすべて終了した後も、定期的にメンテナンスを行うなど、きちんとした手入れをすれば、治療効果を長期に持続することが可能です。インプラントの臨床成功率は、世界中さまざまな施設から報告されており、90%以上のインプラントが10年以上機能するとされています。
現在、臨床で使用されているインプラントは、研究が進み、インプラントの形状や表面処理法などの改良が進み、より早く確実なオッセオインテグレーションが起こるといわれています。ちなみに、ブローネマルク教授によって最初に治療を受けた患者さんのインプラントは、術後40年近く経っても問題なく機能していることが報告されています。10年間で90%以上というインプラントの成功率は、人工関節、人工臓器といった他の人工の器官の成功率と比較して驚異的に高い数字です。失ってしまった歯が完全に再生されるわけではありませんが、その安全性や安定性、周りの歯や組織に負担をかけないという点、天然歯と同じように機能できるという点から、第2の永久歯といわれることもあるようです。
インプラントが注文されるのはなぜ?
・インプラントについて正しい知識と技術を持った歯科医師が増えたことにより、正確な情報が一般の方々にも広がりつつあります。
・インプラントをされた患者さんの喜びが、家族や友人に伝わることによって、現在この治療法を選択される患者さんは増加しています。
・8020運動
8020運動をご存知でしょうか。厚生労働省や日本歯科医師会などにより推進されている“80歳まで20本の歯を残しましょう”という運動です。口腔衛生への関心の高まりを反映して、残存歯数20本以上の残存歯を持つ者の割合共に増加してきています。しかし、まだ不十分な状態は続いていて、多くの人が、多くの歯を失っているのが現状です。
・失った歯を入れるにはブリッジ・入れ歯・インプラントのいずれか
不幸にして歯を失ってしまった場合、失った部分に歯を入れるためには、ブリッジ、入れ歯、インプラントの3つの方法のうち、いずれかを選択しなければなりません。
日本は、欧米に比ベインプラントの普及が遅れていますので、今までは、ブリッジや入れ歯が選択されることが多く、インプラントはその選択肢としても説明されないということも多くありました。
・インプラントの知識と技術を持った歯科医師が増えてきた
しかし、日本でも、インプラントの効果や安全性が認められるようになり、インプラントの技術を積極的に学び、治療に取り入れようとする歯科医師が増えてきた結果、きちんとしたインプラント治療が広く行われるようになっ
てきました。また、インプラントについて正しい知識と技術を持った歯科医師が増えたことにより、正確な情報が一般の方々にも少しずつ広がりつつあります。
・インプラントをすることによってしか得られないメリットがある
インプラントは、ブリッジのように、失った歯の両隣りの歯を削る必要がなく、入れ歯のように、動いてしまうことや、取り外しの必要もありません。また、入れ歯と比べると、咬む力は大きくなり咀しゃくの際の効率も向上することがわかっています。インプラントをされた患者さんの喜びが、家族や友人に伝わることによって、現在を選択される患者さんは増加しています。
インプラント治療って?
・インプラント治療とは、インプラント体(フィクスチャー)を顎の骨の中に埋め込んで、歯や入れ歯の支えとする治療のことです。
・インプラント治療では、ブリッジのように両隣の歯を削る必要はありません。
・さし歯が機能しなくなると入れ歯かブリッジかの選択だった
私たちの歯はとても丈夫で、歯の根っこ(歯根)さえしっかりとしていれば、たとえ虫歯などで歯の口の中に見える部分(歯冠)の大半がなくなっても土台を歯根にさし込んで、かぶせ物をすることで機能を回復することができます。いわゆる「さし歯」という歯の治療方法です。しかし、歯根が割れてしまっていたり、虫歯が歯根にまで進行していたり、歯周病が進行して歯根が十分に歯を支えることができなくなってしまった場合には「さし歯」として歯の機能を回復することができなくなります。こうなってしまった場合、インプラントの選択肢がないと、取り外し式の
入れ歯にするか、取り外しをしないでもよい歯を入れるためには、ブリッジにしなくてはなりません。
ブリッジには、両隣の歯を削る必要があることと、支えの歯に大きな負担をかけるというデメリットがあります。
・インプラント治療というのは
インプラント治療とは、インプラント体(フィクスチャー)を顎の骨の中に埋め込んで、歯や入れ歯の支えとする治療のことです。インプラント治療では、ブリッジのように両隣の歯を削る必要はありません。
インプラント体を顎の骨の中に埋め込む手術をインプラント埋人手術といいます。十分な検査の後、インプラント埋入手術を行い、インプラント埋入手術後、骨とインプラントが強固に結合するための期間(通常のケースでは3~4か月間)を置いてから、インプラント体を歯の支えとして利用します。
・インプラント手術は
インプラント手術は、通常全身麻酔の必要はなく、部分麻酔のみで行います。治療に対する恐怖感が強い場合や、高血圧症等の全身的な状態によっては、各種鎮静法を併用する場合もあります。手術時間は、埋め込むインプラント体の数にもよりますが、30分から、長くても2時間程度で終わり、特に入院する必要はありません。
インプラント ブリッジ 入れ歯の違いは?
・ブリッジは、両隣の歯を支えとして、文字どおり橋をかけて、失くした歯を回復する治療法です。
・ブリッジは、長期間機能させるためには、支えとなる歯を削る必要があります。
・入れ歯は取り外して清掃する必要があり、周囲の歯につかまるためのバネのような装置や、歯肉の上に乗っかる部分が余計にありますので、患者さんによっては、面倒なうえに窮屈でなかなか慣れることのできない方もおられます。
・不幸にして歯を失ってしまった部分に歯を入れる方法は
不幸にして歯を失ってしまった部分に歯を入れる方法としては、インプラント・ブリッジ・入れ歯の治療法があります。
・ブリッジのメリット・デメリットは
ブリッジは、両隣の歯を支えとして、文字どおり橋をかけて、失くした歯を回復する治療法です。ブリッジは、取り外しの必要がなく、自分の歯に近い装着感を得ることができます。また、日本では、材質等に制限がありますが、健康保険での治療も可能です。健康保険外の治療では、材質・治療内容についての選択肢も広がり、セラミック等の審美的な治療も可能となっています。ブリッジの治療は、基本的に歯を削って、「型」をとって製作するという内容ですので、インプラントのような外科的な内容を伴わないことは、インプラントと比ベブリッジのメリットといえます。しかし、ブリッジは、長期間機能させるためには、支えとなる歯を削る必要があります。これは、大きなデメリットで、たとえ虫歯でないような健康な歯であっても、支えにするために削る必要があります。 1度削って治療を
してしまった歯は、手付かずの健康な歯にくらべて、虫歯になるリスクが大きくなります。また、ブリッジは複雑な形態をしているため、清掃が難しく、専用の清掃器具を使用する必要があります。本来の本数よりも少ない本数を支えとするため、支えとなった歯の負担が大きくなり、歯周病が進行するリスクや、支えの歯が折れてしまうリスクも高まります。さらに、片持梁(カンチレバー)になってしまう場合や、支えの歯の間隔が広すぎる場合などブリッジができなかったり、適さなかったりするケースもあります。
・入れ歯のメリット・デメリットは
もう1つの方法として入れ歯があります。取り外し式の義歯のことを一般的には入れ歯と呼んでいるようです。
入れ歯は、外科的な処置をすることなく、また支えとなる歯を大きく削る必要もないので、インプラントやブリッジと比べて、最も体に対する侵製が少ない方法といえます。1本だけ歯がない状態から、1本も歯がない状態のいわゆる総入れ歯まで、どのような歯の失くなり方にも対応して製作できます。健康保険で製作することもできますし、健康保険外の治療で、金属を多く使ったり、磁石などの特殊な装置を使用したりして、装着感を向上して、よく咬めるような工夫もされています。
しかし、入れ歯は取り外して清掃する必要があり、周囲の歯につかまるためのバネのような装置や、歯肉の上に乗る部分が余計にありますので、患者さんによっては、面倒に感じたり窮屈であったりなかなか慣れることのできない方もおられます。また、咬む能力もインプラントなどの固定式の他の方法に比べると、著しく劣ります。部分入れ歯の支えとなった歯は、長期的には過度の負担により歯周病が進行したり、歯が折れてしまうリスクも高まります。入れ歯の支えとなる歯は、汚れがつきやすいため虫歯になるリスクも高まります。
インプラントにするメリット・デメリットは?
・インプラントにするメリットは、残っている自分の歯を削って負担をかける必要がないことです。
・インプラントにするデメリットとしては、インプラント体を顎の骨に埋め込むための外科的な手術を必要とする点です。しかし、一般的には1本1時間以内で終わる簡単な手術です。
・ブリッジでなくインプラントにするメリットは
不幸にして歯を失ってしまった場合、インプラントにするメリットは、残っている自分の歯を削って負担をかける必要がないことです。歯を失った部位に歯を入れる治療の1つにブリッジによる治療があります。ブリッジは取り外しの必要がなく、自分の歯と同じように食事することが可能ですが、残っている自分の歯を削って支えにする必要が
あります。虫歯になっていないような健康な歯でもブリッジにするために、かけがえのない歯を削ることが必要となることがあります。またブリッジにした場合、支えの歯に負担が大きくかかりますので、長期的には、支えの歯が折れてしまったり、歯周病を増悪してしまったりする場合があります。
・取り外し式の入れ歯にしなくてすむというメリットもある
インプラントにすることによって、取り外し式の入れ歯にしなくてすむというメリットもあります。連続して多くの歯が失われたり、奥に支えの歯がなくなったりすると、ブリッジにすることができなくなり、インプラントを行わないと、取り外し式の入れ歯を入れなくてはなりません。取り外し式の入れ歯は、通常大きく歯を削る必要がありません。型をとるといった作業で製作できますので、体に対しては最も非侵襲的な治療ともいえます。しかし、食事の後や、就寝時に取り外しをするということは面倒ですし、口の中に固定するための金具が必要なため、金具が外から見えることを気にされる患者さんもいらっしゃるようです。また取り外し式の入れ歯は、一般にインプラントやブリッジに比べると咬む力が劣ります。
・インプラントにするデメリットは
インプラントにするデメリットとしては、インプラント体を顎の骨に埋め込むための外科的な手術を必要とする点です。手術といっても、1~2本のインプラントの埋入であれば、通常は1時間程度で終わる手術ですが、ブリッジや取り外しの入れ歯に比べると、体への侵襲が大きいことは明らかです。患者さんが、インプラント埋入手術に影響を与えるような、またはインプラント埋入手術が体に影響を与えるような可能性がある病気・全身状態(高血圧症、血が止まりにくい、糖尿病、骨粗鬆症等)がある場合は、内科などの主治医と相談のうえ治療を進めます。また、インプラントを入れたい部分の顎の骨の量によっては、そのままではインプラントを入れることができず、あらかじめ(またはインプラントの埋入と同時に)顎の骨を増やすような手術を行う必要がある場合もあります。この場合は手術が多少大がかりになることもあります。
・審美的な面を重視するときは
審美的な面を重視する場合、特に前歯の歯ぐきのラインは、インプラントにすると、歯を失う前に比べると下がってしまう(言い換えると歯が長くなってしまう)ケースがあります。これは、日本人の場合、上の前歯部の顎の骨
が薄いことが多く、深い位置にインプラント入れざるを得なくなることがあるからです。審美的に適切な位置にインプラントを入れるためには、骨や歯ぐきの移植等の追加の手術が必要なこともあります。ブリッジは、細くて薄い顎の上にも橋渡しで歯をつくれますので、このようなケースでは、審美的な面からはインプラントよりも有利です。またインプラント治療は、患者さん自身の骨と組織の回復力を利用した治療ですので、治療がほかの方法に比べると長期問にわたります。この点も、忙しい患者さんにとってはデメリットといえます。ただし、患者さん自身の骨と組織の回復を待つ時間ですので、通院回数はそれほど頻繁には必要ありません。また、日本では、インプラント治療は健康保険の適応になっておらず、治療費が健康保険によるブリッジ、入れ歯と比べて高額になることもデメリットといえます。
インプラント治療が適した人ってどうゆう人のこと?
・顎の骨に、インプラント体(フィクスチャー)を十分に包み込むだけの幅と高さがあることが望まれます。
・インプラントする部分以外の歯や歯ぐきの状態が健康であるか、しっかりと治療されて管理された状態である(またはその予定であること)ことも重要です。
・顎の骨にインプラント体を十分に包み込むだけの幅と高さがある人
インプラント治療は顎の骨にインプラント体(フィクスチャー)を埋め込んで歯の支えとする方法ですから、顎の骨に、インプラント体(フィクスチャー)を十分に包み込むだけの幅と高さがあることが望まれます。顎の骨は、人それぞれ生まれ持った形が違いますし、どのようにして歯を失ったか、歯を失ってからどのくらいの期間が経過しているかによっても残される顎の骨の量は影響を受けます。例えば、重症の歯周病で歯を失ったような場合には、同時に顎の骨が広範囲に痩せてしまっていることがあります。顎の骨に十分な幅と高さのある人は、インプラント治療に適した人といえます。逆に、顎の骨の幅と高さが十分でなく、やせてしまっている人はインプラント治療に不向きな人といえます。
・糖尿病などの治癒力に影響を与える病気がなく健康である人
インプラントは、患者さん自身の体の治癒力を利用した治療法ですので、糖尿病などの治癒力に影響を与える病気がなく、なるべく健康であることが望ましいことはいうまでもありません。また、インプラントする部分以外の歯や歯ぐきの状態が健康であるか、しっかりと治療されて管理された状態である(またはその予定であること)こと
も重要です。口の中の清掃状況が悪く、歯周病が進行している状態でインプラントをした場合、せっかく入れたインプラントが歯周病細菌の影響を受けてだめになってしまう可能性が増えますし、さらに他の部分の歯も失って、すぐにインプラントを追加することになってしまうこともあります。治療の計画は、必ず口の中全体の状態を踏まえた上で決定される必要があります。
・最低でも4ヶ月にに1度程度は簡単なメンテナンスに通院が可能な人
最低でも4ヶ月に1度程度は簡単なメンテナンスに通院が可能で、指示された毎日の簡単な清掃をしっかりと行っていただけることも、インプラントを治療後も快適にお使いいただくためには、重要なことですので、メンテナンスを続けられる方も、インプラント治療に適しているといえます。
インプラント治療が適さない人ってどうゆう人のこと?
・喫煙している人、くいしばりや歯ぎしりのある人
・全身性の疾患のある人
・インプラントを希望する部位の顎の骨が極端に不足している人
・妊娠中の人
・年齢についての制約は
高齢であることは、インプラント治療の妨げにはなりません。逆に若年者で顎の骨の成長が終了していないような場合は、骨の成長を待ってインプラント治療を行うことが望ましいとされています。一般的には、20歳になるのを待ってから、インプラント治療をされるのかよいでしょう。
・日々のお掃除と定期的なメンテナンスの必要を理解できない人
これから入れるインプラントを長期に維持していくためには、日々のお掃除と定期的な専門家によるメインテナンスが必要です。メンテナンスが必要なことを理解できない、または理解はできるがさまざまな理由から実践できない方はインプラント治療を含めて歯科治療全般に適さないといえます。入れたインプラントが可能な限り長期にわたって良好な状態を維持するように、そして他の部位にインプラントが必要な状態にならないように、口の中全体を定期的にチェックする必要があります。歯磨きがしっかり行えているかどうかも自分自身ではなかなかわからないものです。インプラントにとっても、歯にとっても最大の敵は磨き残しです。口の中の健康状態を維持するために、面倒ではありますが、日々の清掃を心がけ、定期的な通院を行ってください。
・喫煙している人、くいしばり・歯ぎしりのある人
喫煙はインプラント治療に悪影響を与えます。歯周病も増悪させます。可能な限り、禁煙・減煙を行うことが望ましいといえます。 くいしばりや歯ぎしりのある方も、インプラントに強い負担をあたえるため、インプラントが駄目になってしまったり、かぶせ物が壊れてしまったりする原因になります。
・妊娠中の人
妊娠中の方はインプラント治療が直接的に影響を与えることは少ないと思われますが、手術後痛み止め等の薬を服用する必要があること、治療によるストレスから間接的な何らかの影響を受ける可能性を否定できないことから、インプラント治療をおすすめはできません。授乳中も薬を服用する必要があるので同様です。
・全身性の疾患を持っている人
糖尿病、リウマチ、心臓病(心筋梗塞、狭心症、不整脈)、高血圧症、出血性素因(血が止まりにくい)骨粗耘症といった全身性の疾患をお持ちの患者さんも、インプラントに影響を与える可能性があり、場合によって主治医と連絡をとって治療を進める必要があります。特に骨粗粗症等で、ビスフォスフォネート系の薬剤を服用中の患者さんは、歯科治療に際して顎の骨が壊死する副作用が少数ですが報告されていますので、注意が必要です。
・インプラントを希望する部位の顎の骨が極端に不足している人
インプラントを希望する部位の顎の骨が極端に不足している人も、大規模な骨の移植等が必要となり、インプラントに適さない場合があります。
・上顎洞炎・蓄のう症のある人
上顎洞炎、鼻炎、蓄のう症のある人、過去に咽喉頭炎のある人は、必ず主治医に申告して、耳鼻科受診等について相談しましょう。
・ビスフォスフォネート系の骨粗転症治療薬服用中の人
ビスフォスフォネート系の骨粗耘症治療薬を服用している人のうち非常にまれではありますが、インプラント治療の有無にかかわらず、顎の骨が壊死してしまうことがあることが、近年報告されています。
インプラント治療との直接的な関係は、まだ明らかではありませんが、ビスフォスフォネート服用中の患者さんは、注意が必要です。
病気 寝たきり 高齢などの人のインプラント治療は
・糖尿病、リウマチ、心臓病(心筋梗塞、狭心症、不整脈)、高血圧症、出血性素因(血が止まりにくい)、腎疾患、肝疾患、ぜんそくなどの呼吸器系疾患、といった全身性の疾患をお持ちの患者さんも、インプラントの治療ができないとは限りません。
・寝たきりの患者さんでは、インプラントを入れた後の口腔内のケアを自分や周りの人たちがしっかりと行っていける環境であることが前提条件となるでしょう。
・高齢であること自体は、インプラント治療の妨げにはなりません。
・全身性疾患のある人でもインプラント治療はできることも
糖尿病、リウマチ、心臓病(心筋梗塞、狭心症、不整脈)、高血圧症、出血性素因(血が止まりにくい)、腎疾患、肝疾患、ぜんそくなどの呼吸器系疾患、といった全身性の疾患をお持ちの患者さんも、インプラントの治療ができないとは限りません。ただし、インプラント治療に影響を与える可能性と、逆にインプラント治療が全身疾患に悪影響を与える可能性があり、場合によっては主治医と連絡をとってインプラント治療を行ってよいか、行ううえでの注意点を確認して、治療を進める必要があります。
・糖尿病でも定期的な通院により状態が安定していれば手術可能
糖尿病では、定期的な通院・治療により状態が安定していれば、手術は行うことは可能です。ただし、糖尿病の患者さんは感染しやすいので、特に手術後の感染に注意して行います。糖尿病のコントロールがうまく行われていない患者さんでは、主治医の先生の意見を参考にして手術時期を判断することになります。
・血液の流れを良くする薬をお飲みの方も主治医と相談して
血液の流れを良くする薬(バイアスピリン・ワーファリン等)をお飲みの患者さんも主治医と相談して、インプラント手術を行うかどうか、どのような時期に行うか、薬を休むかどうかを決定します。決して内服薬を相談なしに勝手に止めてしまってはいけません。
ステロイドや免疫抑制剤を服用している人もよく相談して
ステロイドや免疫抑制剤をお飲みの患者さんも、感染のリスクが高まりますので、その疾患の主治医とインプラントを行う歯科医がよく相談して、手術後の感染に注意して治療を行う必要があります。
・寝たきりの人は全身的な疾患に注意してインプラント治療
寝たきりの患者さんがもしインプラントを希望するのであれば、前記の全身的な疾患に注意して手術を行うことになるでしょう。その際、インプラントを入れた後の口腔内のケアを自分や周りの人たちがしっかりと行っていける環境であることが治療の前提条件となるでしょう。
・高齢であること自体はインプラント治療の妨げにはならない
高齢であること自体は、インプラント治療の妨げにはなりません。ただし、高齢であれば、上記のような全身疾患をお持ちであるリスクが高くなりますから、手術前に全身的な健康状態をしっかりと確認することが重要です。
精神疾患(心身症)の人のインプラント治療は?
・精神疾患とは、脳(および「こころ」)の機能的・器質的障害によって引き起こされる疾患をいいます。
・どうしてインプラントをしたいのか、そのお困りの点が本当にインプラントをすることによって解消されるのかをよく相談されてから、インプラント治療を開始するのがよいと思われます。
・精神疾患・心身症というのは
精神疾患とは、脳(および「心」)の機能的・器質的障害によって引き起こされる疾患をいいます。統合失調症や躁うつ病といった重度のものから、神経症に(この用語は正式な疾患名としては用いられなくなりつつあります)、パニック障害、適応障害といった中・軽度のものまでのさまざまな疾患を含みます。その中で、心身症とは、身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害がみとめられる病態をいいます。ただし、神経症やうつ病など他の精神障害にともなう身体症状は除外する(日本心身医学会 1991年)と、定義されます。すなわち心身の些細な変調に過度にとらわれ、訴える状態で、重大な病気ではないかと恐れ、悩み、受診を繰り返します。
・精神疾患(心身症)の方がインプラント治療を希望するときは
精神疾患(心身症)をお持ちの方がインプラント治療を希望する場合は、どうしてインプラントを行いたいのか、そのお困りの点が本当にインプラントをすることによって解消されるのかを歯科医とよく相談されてから、インプラント治療を開始するのがよいと思われます。インプラントのメリット・デメリットをしっかり理解して、そのうえで治療方法を選択してください。特にインプラント治療によって、なくしてしまった歯が全く同じに回復されるわけではないこと、インプラントを維持していくためには自分による清掃を続けていく必要があることをしっかり理解する必要があります。
インプラント治療の寿命は?
・インプラントには一定の寿命はありません。
・ただし、顎の骨の質や、口腔清掃の状態、全身疾患や、歯ぎしり等で過大な力がかかるなど、さまざまな理由でインフラントが失われるケースもあります。
・インプラントにはー定の寿命はない
インプラントに寿命はありません。いいかえると、何年かに一度交換しなくてはいけなくなるというものではありません。歯科におけるインプラントのように、整形外科の分野で人工関節というものがあります。この人工関節は、力が大きくかかり、摩耗等が起こるため、一般的に15年から20年で交換の必要があります。つまり、人工関節の寿命は15年から20年ということができます。歯科におけるインプラントの場合、現在の形のインプラントの開発者であるスウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク博士によって1965年に入れられたインプラントは、2006年にその患者さんが亡くなるまで実に41年の間機能しました。
・さまざまな理由でインプラントが失われるケースもある
残念ながら入れられたインプラントすべてが100%永久に口の中で機能し続けるということでもありません。顎の骨の質や、口腔清掃の状態、全身疾患や、歯ぎしり等で過大な力がかかるなど、さまざまな理由でインプラントが失われるケースもあります。このように、失われてしまったインプラントが調査され、寿命としてではなく、何年間でどのくらいのインプラントが問題なく機能しているかということが世界中で報告されています。さまざまな報告がありますが、そのほとんどで10年間で90%以上のインプラントが問題なく機能するとされています。10年間で90%以上というインプラントの成功率は、人工関節、人工臓器といった他の人工の器官と比較して驚異的に高い数字です。
インプラント治療の安全性は高いってホント?
・インプラント治療は十分な基礎知識と技術を持って行われれば非常に安全性の高い手術です。
・インプラント治療を安全に行うために重要なポイントは
インプラント治療を安全に行うために重要なポイントは、手術前にしっかりとした診断を行うことです。インプラントを埋入する顎の骨の形態をしっかり把握する必要があります。そのために現在では、CTスキャンの撮影を行うことにより顎の骨の形態を三次元的にしっかりと確認することが強く推奨されます。下の顎の場合、奥歯の付近には、骨の中に下歯槽神経という顎先の感覚に関係する神経が通っています。この神経を傷つけないように、そして当然インプラントが骨の中にしっかり収まるようにインプラントの埋入が計画され、そのとおり実行されなければなりません。上の顎の場合、奥歯の付近には上顎洞という空洞があります。上顎洞までのスペースにインプラントを入れられるか、術前にしっかりと診断されなければなりません。
・顎の骨がインプラントを入れるために不十分なときは
顎の骨がインプラントを入れるために不十分な場合は、あらかじめ骨の移植等が必要なこともあります。体の中にインプラントという異物を埋め込むわけですから、手術は通常の歯科治療以上に清潔に行われる必要があります。使われるインプラント体はメーカーによって完全滅菌され顎の中に入れられる寸前に開封されます。したがって、手術途中で通常の歯科治療のように口をゆすいだりはできなくなります。
・インプラントの手術が全身の疾患に影響を与えることがある
全身的な疾患や状態がインプラントの手術に影響を与えたり、逆にインプラントの手術が全身の疾患に影響を与えることがありますので、全身的な現在の病気、内服中の薬、過去にかかった大きな病気等の情報は、あらかじめかならずインプラントを行う歯科医に伝えてください。
・万が一インプラントがダメになっでも
骨の質が悪かったり過度の力がかかったりなどの理由によって、残念ながらインプラントを取り除かなければならない場合があります。その場合には、歯を抜くのと同じ程度の処置でインプラントは取り除くことができます。インプラントを取り除いた後は、インプラントが埋まっていた骨の治りを待ち、治療後骨量が十分にあれば再度インプラントを入れられることもあります。
インプラント治療相談で押さえておくべきことは?
・インプラント治療相談で押さえておくべきことは、解消したいと考えているお困りの点が、インプラント治療によって回復されるのかということです。
・どのくらいの治療期間をかけて、どのような順序で治療を行っていき、最終的にどのような治療結果が得られるかをよく確認してください。
・インプラント治療相談で押さえておくべきことは
インプラント治療相談で押さえておくべきことは、患者さんがインプラントをすることによって解消したいと考えている現在お困りの点が、インプラント治療を行うことによって本当に回復されるのかをしっかり確認しておくことです。昨今、インプラントがもてはやされており、歯を失ったら、インプラントは最新の方法だからよいに違いないということで、とにかくインプラントを希望される患者さんもおられます。インプラントは、素晴らしい治療法ですが、インプラントにもメリット・デメリットがあります。ブリッジ・取り外し式の入れ歯と比べて、どの治療法が自分の希望に一番あっているかを考えて、治療法の選択をしなくてはいけません。
・最終的にどのような治療結果が得られるかをよく確認する
そのうえで、どのくらいの治療期問をかけて、どのような順序で治療を行っていき、最終的にどのような治療結果が得られるかをよく確認しておいてください。インプラント治療に限らず、医療は100%確実に事が進むとは限りませんので、起こりうるリスクについてしっかり押さえておくべきでしょう。心配なことは遠慮せずにしっかり聞いておきましょう。インプラント治療は、健康保険が適用されず、高額の治療になりますので、治療費の総額、支払いの時期についてもよく確認しておくとよいでしょう。