Q;ステインがつきやすい方へのへブラッシング?
A:まず、歯磨剤を使用せずにしっかり磨いてプラークを除去した後、最後の仕上げとして清掃剤配合歯磨剤を短時間使用することをおすすめします。
ステインは、外来性物質が歯面に沈着して起こる着色のことで、歯は黄色から茶色に着色します。その原因として、喫煙、タンニンが多く含まれる飲料(お茶、コーヒー、赤ワインなど)の飲用、鉄の摂取などが挙げられます。
ステインを防ぐには、歯磨剤に配合されている清掃剤が重要な役割を果たします。清掃剤無配合の歯磨剤に比べて、清掃剤が配合された歯磨剤のほうが歯面への色素沈着を防ぐことができたとの報告があります1。また、この報告では、美白用歯磨剤として清掃剤に清掃補助剤を添加しても、清掃剤のみを配合した歯磨剤と比べて色素沈着の抑制に差がみられていないことから、歯磨剤に清掃剤が配合されていればステインを防止する効果があると考えられます。
清掃剤としては炭酸カルシウムなどが使用されていますが、これはステインよりも硬度が高いため、機械的にステインを取り除くことができます。また、エナメル質より硬度が低いため、基本的には歯磨剤によって歯面は傷つかないようになっています。
ただし、歯の表層は、口腔細菌の産生物や唾液などの影響を受けて脱灰・再石灰化を繰り返しているため、酸性になり硬度が低下した部位では、炭酸カルシウムなどの清掃剤でもエナメル質が損耗することがあります。また、なかには、歯磨剤自体のpHが臨界pH(脱灰が起こり始めるpH)より低いものがありますので、その使用により歯磨剤で歯面が脱灰し、傷つく可能性があります。さらに、歯磨剤のpHが極端に低くなくても、清掃剤配合歯磨剤を使用して長時間磨きすぎることで歯面が磨耗することもあります。
以上のことから、ステインが付きやすい患者さんの場合は、歯磨剤を使用せずにしっかり磨いてプラークを除去した後、最後の仕上げとして清掃剤配合歯磨剤を短時間使用することをおすすめします。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之