Q;洗口液の効果的な使用のタイミングは?
A:就寝前の使用が効果的とされていますが、歯磨剤に含まれるフッ化物を半減させないよう、ブラッシング後しばらくしてからの使用がよいでしょう。
このご質問にある「洗口液」とは、バイオフィルムの付着抑制や歯肉炎の予防効果を目的とするフッ化物の含まれない洗口液であることを前提として話を進めます。
洗口液をいつ使えば効果がもっとも大きく現れるのでしょうか?昨今の予防歯科のグローバルスタンダードは、「ブラッシングではフッ化物配合歯磨剤を必ず使う」「ブラッシング後でも口腔内に歯磨剤に含まれるフッ化物が残るようにする(うがいは1回)」です。 したがって、ご懸念のとおり、ブラッシング直後に洗口液を使うと、歯磨剤に含まれるフッ化物の効果を弱めるので、そのような使用は控えるべきだと考えます。
では、いつ洗口液を使えばいいのでしょうか。ブラッシング1時間後か、2時間後か?そこで、洗口液の臨床実験について報告した文献をいくつか調べてみました。その結果、特に洗口のタイミングまでを規定した実験はありませんでしたが、規定されているのは、1日2回の洗口、そして洗口液それぞれに応じた量(~20mL)と洗口時間(~1分)でした。
以上のことから、あくまでも洗口液をブラッシングの補助として用いるのであれば、あまり細かく考えすぎず、ブラッシング後の適当な時間に洗口するのがよいでしょう。 2019年に出版されたガイドブックにおいても、洗口液使用のタイミングは「ブラッシング後少し時間をおいてから(間隔の指定はないが、少なくとも5分、できれば4時間)」と示されています。
そのようなあやふやな回答では納得できない方には、就寝前の洗口が効果的であるという報告を紹介します。この研究では、0.2%のクロルヘキシジン(日本では最高0.05%)を用いているので少し注意が必要ですが、日中の洗口と比較して、夜(就寝前)の洗口のほうが、洗口後の唾液中の生菌数が少なく、その効果は12時間持続していたとされています。この結果から、実際の口腔内状態にまで効果の差が現れるとは断言できませんが、洗口液の味がそれほど気にならず、洗口後すみやかに寝ることができるのであれば、就寝前の洗口をおすすめします。