Q;インプラントが人っている患者さんへのフッ化物応用は?
A:プロフェッショナルケアでのフッ化物塗布なら中性あるいは保護したうえで酸性を使用。セルフケアの範囲であればフッ化物配合歯磨剤を使用したほうがよいでしょう。
プロフェッショナルケアである濃度の高いフッ化物塗布については、中性のものを用いるか、酸性のものであればワセリンなどをチタン製インプラントに塗って保護をしたうえで用いることが必要です。
しかし、家庭で使うフッ化物配合歯磨剤に関しては、口腔内のチタンを腐食するエビデンスは存在しておらず、天然歯を有する人であれば利用したほうがメリットが大きいことが学会からの見解として出されており、詳細がレビュー論文にまとめられています。
そもそも、インプラント先進国であるアメリカやスウェーデンで、インプラント患者さんにフッ化物配合歯磨剤の利用を禁止する推奨など目にしませんよね?フッ化物配合歯磨剤の利用が推奨される理由は以下のとおりで、フッ化物配合歯磨剤の利用を中止する利益はなく、むしろフッ化物を使わないことによるう蝕リスクの増加が懸念されるとされているのです。
フッ化物配合歯磨剤がチタンの腐食に影響を与えるという情報は、実際の口腔内の環境とは異なる実験室での一部の基礎研究の結果を誤って解釈した情報が、拡大解釈されていったことが原因です。
☆インプラント治療患者ヘフッ化物配合歯磨剤の利用をすすめるべき理由
①pHが4.7以下の強い酸性の環境では、フッ化物配合歯磨剤によりチタンが侵襲されうるが、中性、アルカリ性または弱酸性のフッ化物配合歯磨剤を利用する場合、侵襲の可能性はきわめて低い
②歯磨剤を利用しないブラッシングでもチタン表面が侵襲されていた。歯磨剤を利用するブラッシングでフッ化物の有無による侵襲の程度に差はない
③チタン表面の侵襲の有無で、細菌の付着に差はなく、フッ化物の利用により細菌の付着が抑制された報告も存在した
④実際の口腔内では唾液の希釈作用でフッ化物濃度は低下するため侵襲の可能性は低い
⑤フッ化物配合歯磨剤の利用により細菌の酸産生能が抑制されるため、チタンが侵襲されるpHにはなりにくくなる
⑥酸性の飲食物によるpHの低下は短時間で回復したことがわかった
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之