Q;フッ化物のう蝕予防効果は、中性と酸性で異なる?
A;今までは、臨床的なう蝕予防効果に差がないとされていましたが、酸性のフッ化物のほうが予防効果が高いという報告 も出てきています。
まず、フッ化物歯面塗布剤で言うと、中性塗布剤(溶液)には2%フッ化ナトリウム(NaF)、酸性塗布剤(溶液・ゲル)にはリン酸酸性フッ化ナトリウム(APF)が使われています。成分は双方ともNaFで、フッ化物濃度は9,000ppmです。う蝕予防効果は、どちらも約30%で「両者に差はない」と考えられています。
しかし、中性塗布剤は「2週間に3~4回塗布を1クールとして年間1~2クール」、酸性塗布剤は「年間1~2回」の実施が推奨されていることを考えると、中性塗布剤を使うほうが来院回数が多く必要となるため、実用的なのは酸性塗布剤のほうかもしれません。
また、抜去歯を用いた実験では、中性塗布剤は酸性塗布剤と比べて、得られる歯質の硬さやフッ化物の取り込み量が低いことが古くから指摘されています。酸性塗布剤では、エナメル質表面がエッチングされ微小な凹凸(直径5μm以下の小窩、孔)が生じたところに、フッ化物の作用で生じたフッ化カルシウム(CaF)が満ちることで、歯質の耐酸性が増すと考えられているからです。
さらに、近年の臨床研究においては、研究方法や分析方法が進歩し、従来よりも科学的なプロセスに沿ったう蝕予防効果のエビデンスが得られています。実際、米国歯科医師会雑誌ではAPFを推奨しています。
歯磨剤でも、酸性に調節したほうが中性に調節するよりもう蝕予防効果が高いと報告されています。
以上のことから、これまでの「臨床的なう蝕予防効果に差がない」といった考え方から、「酸性のフッ化物のほうが予防効果が高い」という考え方ヘシフトしていくかもしれません。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之