Q;乳酸菌入りヨーグルトは口腔内にとってどのようなよい影響がある?
A:ロイテリ菌入りのヨーグルトにより、唾液中のミュータンス菌が減少したという報告もありますが、う蝕抑制率や歯周病の病状改善に対する効果について、現時点でのエビデンスレベルは低いとされています。
乳酸菌は、ブドウ糖・オリゴ糖・乳糖などの糖質を発酵して乳酸を産生する能力を有する菌の総称です。そのー種であるロイテリ菌は、ロイテリンと呼ばれる抗生物質3-ヒドロキシプロピオンアルデヒドを産生し、腸内の数種類の有害な細菌や真菌(カビ)などの生育を阻害する能力を有していることが報告されています。
口腔内への影響については、ロイテリ菌を含むヨーグルトを1日1個、連続して2週間食べると、別の種類の乳酸菌が入っているヨーグルトを食べた時よりも、唾液中のミュータンス菌の数が減少したという報告があります。一方で、2週間で食べることを止めると、その1週間後にはロイテリ菌がほとんど検出されなくなるとの報告もあり、継続して食べ続ける必要があるようです。
また、ロイテリ菌を含む乳酸菌の有機酸産生能は、ミュータンス菌よりも強いことが報告されています。乳酸菌は象牙質う蝕のう窩ら検出されるため、露出根面など、乳酸菌が定着可能な露出象牙質が口腔内に存在する場合には注意が必要かもしれません。
乳酸菌によるプロバイオティクス療法の歯周病への効果については、深い歯周ポケットを有する慢性歯周炎の非外科的治療(SRP)と組み合わせた場合、歯肉の炎症を改善し、歯周ポケットの深さが改善したとの報告がありますが、現時点でのエビデンスレベルは低く、さらなる長期的ランダム化比較試験の実施が望まれます。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之