☆生活習慣病に関する疑問:Q;栄養摂取状態が歯肉に影響する?|岩見沢市のインプラント歯科医院|みしま歯科医院

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☆生活習慣病に関する疑問:Q;栄養摂取状態が歯肉に影響する?

Q;栄養摂取状態が歯肉に影響する?

A:栄養摂取状態は、歯肉だけでなく全身にも影響します。近年では、タンパク質やビタミン類の摂取量低下と歯の喪失に関連があるとことも報告されたいます。

 歯肉は、主にタンパク質の1つであるコラーゲンで構成されています。コラーゲンの合成にはビタミンCが必要ですので、それが欠乏すると歯肉が海綿状になったり、赤く腫れて出血しやすくなったりといった症状を呈します。ちなみに、ビタミンC欠乏症を「壊血病」と言いますが、その名のとおり血管が脆弱となり、歯肉だけでなく、全身に点状出血や内出血がみられるのが特徴です。

 また、コラーゲンの合成に必要な栄養素としては、タンパク質、ビタミンAもあります。タンパク質は筋肉や結合組織を構成するだけでなく、免疫細胞のはたらきを向上させたり、免疫物質を作り出したりする栄養素でもあります。したがって、タンパク質の摂取不足が続いて慢性的に低栄養状態にある人は、生体防御反応低下や創傷治癒遅延のリスクが高くなるため、歯周組織破壊が進みやすい状態にあり、とくに注意が必要です。

 近年、歯の喪失は、タンパク質やビタミン類の摂取量低下と関連することが、多くの疫学調査で報告されています。さらに、多数歯喪失者であっても、適切な補綴治療と栄養指導を行うことによって栄養改善は可能との報告もあり、健康的な食事摂取や低栄養予防の観点から、歯科外来患者に対する食事・栄養指導を強化する必要があると考えられます。

 ところで、歯肉の健全性を保つには、炎症や感染をコントロールすることも非常に重要です。歯周病の進行には、炎症細胞が産生するフリーラジカルが関係しているため、歯周病の病態改善に抗酸化物質の摂取が有効であることも報告されています。具体的には、抗炎症作用のあるオメガー3系脂肪酸(DHA、EPA)、抗酸化作用のあるフラボノイド、力ロテノイドなどの栄養素やそれを含む食品が歯周病のリスクを減少させるのではないかと期待されています。

 歯肉を含めた口腔粘膜は、ターンオーバー(新陳代謝)が早いため、栄養素の欠乏に対する感受性が高いと言えます。患者さんの歯肉を観察するときには表面的な症状だけでなく、その方の栄養摂取状態もあわせて確認することをおすすめしたいと思います。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之