Q;唾液腺マッサージの効果は?
A:安静時唾液が少ない人での唾液分泌量増加に即効性が認められています。また、甲状腺がんの放射線治療で生じる機能障害を緩和することが報告されています。
唾液は1日に約1.0~1.5L分泌され、口腔内において消化作用、粘膜や歯の保護作用、抗菌作用、緩衝作用などさまざまな役割を果たしています。唾液の分泌には日内変動があり、刺激の少ない睡眠時には顎下腺からの分泌が多く、酸刺激や機械的な刺激を受けると耳下腺からの分泌が多くなります。
唾液の分泌は、自律神経の二重支配によって調節されています。緊張した際などに口腔内の乾燥を経験されたことがあるかと思いますが、それは交感神経が優位になって唾液が出にくくなったからです。
また、唾液分泌量の低下は、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患の場合には唾液腺細胞自体が破壊されることによって起こりますが、他にも全身疾患や薬物などが原因として挙げられます。
唾液腺マッサージは、三大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)への温熱刺激と神経刺激によって唾液の分泌を促すものです。通常、唾液腺マッサージは何らかの原因で唾液分泌量が減少していたり、口腔乾燥を認めたりしている人に対して行い、唾液の分泌を促すことで口腔内環境を良好に保つことを目的としています。分泌量の低下していない健常な人であれば、唾液腺マッサージによって唾液が口腔内に分泌されるのを実感できるでしょう。
若年者と高齢者を対象に唾液腺マッサージによる分泌量を比較した報告では、年齢を問わず安静時唾液量の少ない対象者において、マッサージにより一時的な唾液量の増加が認められたとしています。また、健康な高齢者を対象とした、6ヵ月間の口腔機能訓練プログラムの中の唾液腺マッサージを取り入れた研究においても、20歯以上現在歯を有するグループで、プログラム終了時の刺激唾液が0.2mL/分、安静時唾液が0.1mL/分(ともに中央値)の流量の増加が報告されています。
さらに、甲状腺がんに対する放射線治療の重篤な合併症の1つとして、唾液腺の機能障害による口腔乾燥が挙げられますが、耳下腺のマッサージによって放射性ヨウ素の耳下腺への取り込みを減少させ、機能障害を緩和することが報告されています。
このように、唾液腺マッサージは即効性があり、簡便に行えるため、健康プログラムやがんの術後のケアの1つとしてたいへん有用であると考えられます。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之