Q:口臭がするのは胃腸が悪いから。
「胃が悪いと口臭がする」と思っているかた、多いですね。でもふだん胃の臭いがするのはゲップのときくらいです。通常は食道がキッチリとふさいでいますからね。もし、臭いがするほど口と胃が始終つながっていたら、口臭どころではすみません。重症の逆流性食道炎になってしまいます。激しい胸焼けと痛みで働いてなんかいられませんよ。ほかに考えられるとしたら、重篤な食道がんや胃がんでしよう。もちろん、胃の検査を受けることはとても大事なのでおすすめします。一方、たいがいのかたには、そんな重篤な胃病はないと思いますよ。
というのもほとんどの場合、強い口臭の原因は「歯周病」なんですから。
進行した歯周病の臭いは、非常に強烈です。舌苔や歯ぐきのタンパク質が細菌によって分解され、揮発性のガスが発生するのですから。わかりやすく言うと、「腐敗臭」がするのです。唾液の臭いとかではなく、モアーツと攻撃的に臭います。
以前、ある企業が「上司に関するアンケート」をOLを対象に行ったんです。「仕事ができ、性格や身だしなみのいい理想の上司でも、気になるところってありますか?」って聞きました。そしたら、フケとか、いろんな選択肢があるなかで、トップになったのが「口臭、体臭」。ほとんどの人が、他人の臭いを気にしていました。
日本人は、定期的に歯のクリーニングに行く習慣がないでしょう。だから歯ぐきの歯周ポケットのなかは汚れっぱなし。歯みがきだけでは不充分。40歳くらいから中等度~重度の歯周病が急激に増えてくるんです。ビジネスエリートもエグゼクティブも、歯医者に行かない人は臭うんです。例外なくね。
「俺は理想の上司だ」なんて思っていても、じつは口が臭くて嫌われてる上司はいっぱいいます。まずは胃カメラを飲んで、つぎは必ず歯科医院へ。歯ぐきのなかまできれいにしてもらって、口臭を止めましよう。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之