Q:フッ素でインプラントが腐食するので歯磨き剤はNG?!
チタンがフッ素(フッ化物)に触れると腐食するって、よくご存知ですね。
インプラント治療に使われるチタン。とても優れた金属材料なんですよ。インプラント治療はこれなしには成立しません。というのもチタンは不思議なことに、骨と結合する性質があるんです。からだはふつう、異物が入ってくると排除しようとしますよね? でもチタンは、あごの骨に埋め込んでも排除されずに、むしろガッチリと骨と結合して自立してくれるんです。この性質のおかげでインプラント治療が可能になっています。埋入後も腐食しにくくアレルギーも少ない、とても優れた材料です。
ところが弱点があって、チタンはフッ素に触れると腐食してしまうんです。現在売られている歯みがき剤にはたいていフッ素が入っていますから、ご心配なのでしようね。インプラントが錆びて折れたりしたらたいへんですもの。
でも、安心してください。フッ素でどれほど腐食するのかについては研究者が調べたデータがあります。日本で歯みがき剤に配合できるフッ素濃度は1500ppm以下と決められていて、これを使用したときに口のなかに残るフッ素はごく微量で低濃度。まったく腐食しないわけではないけれど、日常的に使用しても問題はないということなんです。とくにチタンの人工歯根の部分については、あごの骨に埋入されていてフツ素に直接触れる機会は限定的でしようし、そういう点からみても、影響は少ないと考えられています。フッ素を使わず、残った歯のむし歯予防が十分でないと、新たな治療が必要になったり、将来的にはまたインプラントが必要になってしまうかもしれません。
あれやこれやを天秤にかけ総合的に考えると、フッ素入りの歯みがきは大事です。ぜひ毎日お使いくださいね。ただし、歯科医院の「フツ素塗布」では、フツ素の濃度が高いため、酸性の塗布剤については使用を控えるように配慮をしています。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之