Q:歯周病?ああ、歯ぐきの病気ね。歯みがきするといつもちょっと血が出るだけさ!
歯周病を歯ぐきだけの病気だと思ってますね? 大いなる誤解です。歯周病は、たしかに最初は歯ぐきが腫れるだけ。でも進行すると歯を支える骨がなくなって、歯が抜けてしまう。しかも相当悪くならないと痛くない。だから逆にこわいんです。
歯みがき後、短時間で血が止まります。そのたびに治った気がするのかもしれませんが、それも間違いです。炎症は治ってない。治ってないから次の日も血が出る。毎日みがいているのに、なぜかつて?
歯ブラシが届かない歯ぐきの溝の奥までプラーク(細菌のかたまり)が入り込んでいるからですよ。歯周病のごく初期、歯肉炎なら、溝が浅いから汚れも溜まりにくく歯ブラシが届くかもしれません。でも、毎日血が出るような状態が続くと溝が深くなり、奥に歯石がガチガチに付いてそれにプラークがからみつく。こうなると、どうやったって自分では取り除けないのです。
歯周ポケットのなかの汚れがひどくならないように、毎日の歯みがきで口を清潔にすることは、もちろん必須です。でも、隠れたところもきれいにしないとダメ。しつこいバイオフィルム(細菌とタンパクなどの膜)や歯石を歯科で取ってもらわないと。まさにボンドやコンクリートのようにくっついているのですから、プロにしかできない仕事です。
日本人が清潔好きだなんて、本当ですかねえ。何年も歯石を取らずに平気な人、いっぱいいるでしょう。口のなかですよ? 細菌がウヨウヨで炎症まであるのに。まだまだ歯科の啓発が足りないんですね。我々歯科医は猛省せねばなりません。
このまま放っておくと将来は入れ歯ですよ。日本では最低限の入れ歯なら保険でできますが、でもだからって、入れ歯になってもいいやと思っているわけではないでしょう?
周りの年輩のかたに聞いてみてください。入れ歯でどんなに不便な思いをしておられるか。悪くなってから歯医者に行けばなんとかなる、と勘違いするのは、そろそろやめなくちやいけませんよ。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之