Q:歯科健診で歯周病だって。歯周病ってオッサンの病気じゃねえの?おれ、まだ中1なんですけど。
たしかに歯周病つて「大人の病気」つていうイメージが強いよね。ところが近頃は、若年層の歯周病が増えているんだ。以前は考えられなかったことなんだけれど、15~19歳の30%以上に歯ぐきから血が出る症状があることがわかっているんです(「歯科疾患実態調査」2016年)。
この変化のもっとも大きな原因は、食生活の変化だと思う。日本の伝統的な食事は、玄米、大根やゴボウなど食物繊維が豊富な食材が多く含まれて、よく噛まなければ食べられなかったでしよ。歯周病は、歯にべ夕べ夕付くプラークのなかの細菌が炎症を起こすことによるものだけど、食物繊維は歯にペタペタ付かず、むしろ擦って掃除してくれるし、よく噛むと唾液がタップリ出て洗い流してくれる。結果的に口のなかの自浄作用が高くなる。
ところが今はスパゲティやハンバーガーのような、軟らかくて歯にベタベタ付く食事が人気。しかも噛む回数が減れば、その分唾液が減ります。自浄作用がガクッと落ちてしまう。細菌のエサになる甘いものも豊富。つまりプラークが増えやすく溜まりやすく、歯周病にもなりやすい食生活になっているというわけ。もちろん、からだの抵抗力が細菌の攻撃力にまさっていれば炎症は起きません。そのへんは若さでカバーできるかもね。でも、細菌が口のなかに多量にありすぎたり、塾通いや夜更かしで疲れていたりすると、細菌の攻撃にからだの抵抗力が負けてしまって、炎症、つまり歯周病がはじまってしまうんだ。
中高生くらいだと、歯がグラグラするような重度の歯周病はまれで、まだ歯周病の初期症状の「歯肉炎」の人がほとんど。歯肉炎は歯ぐきの腫れだけで、歯を支える骨は失われていないから、今のうちに治せば、歯がグラグラするようなことはないよ。でも、このまま放っておくと悪化して将来歯が抜けちやう。だから歯医者さんで上手なブラッシング方法を教わってプラークコントロールをして、歯ぐきのピシッと引き締まったカッコいい大人になってください。