「デンタルフロスを使うと、歯に隙間ができるんじゃないですか?」と言われました。実際どうなのでしょうか?
適切に使えば、デンタルフロスで歯に隙間ができることはありません。
デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具を適切に使用する場合、「歯に隙間ができる」ことはありません。しかし、デンタルフロスや歯間ブラシを使用する際には、その使用方法について十分な指導が必要です。過度な力による清掃や、誤った方向から無理に器具を挿入するような方法では、歯の磨耗、移動、あるいは歯肉への外傷による退縮にともない、「歯に隙間ができる」あるいは「隙間ができたように見える」可能性は否定できません。
一方で、デンタルフロスや歯間ブラシを使用しない場合のほうが「歯に隙間ができる」原因につながります。デンタルフロスや歯間ブラシの使用が歯周病やう蝕のリスクと関連しているからです。
歯周病は、歯肉の退縮や歯の移動の原因となり、結果として「歯に隙間ができる」ことになります。適切なデンタルフロスの使用は歯周病のリスクを下げます。一方、隣接面う蝕は、歯質の欠損や歯の移動の原因となり、こちらも結果として「歯に隙間ができる」ことになります。歯科専門職が行う適切なフロッシングは隣接面う蝕のリスクを下げます。
デンタルフロスによる歯周病やう蝕の予防効果については、エビデンスが弱いとの指摘もありますが、最近の研究でもデンタルフロスの予防効果が報告されています。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之