お口の状況によって時間もブラッシング方法も変える必要があります!
答えは1つではありません。たとえば、重度歯周病の患者さんと、乳幼児の保護者たちとでは、まったく異なることがおわかりいただけると思います。
28本の歯を、少しずつずらしながら2本ずつていねいに磨いていくとして、2歯面を30秒ずつ磨けば14分になりますが、10分以上というのは長いですよね。
歯周病の患者さんに対しては、マッサージの効果も期待して、歯磨剤を使わない「ながらブラッシング」をおすすめしています。唾液は飲み込んで構いません。バイオフィルムを1日1回完全に除去できれば、次に初期定着菌が定着するのに1日程度の時間がかかりますが、これらの菌は病原性の低い善玉菌ですので問題にはならないのです。
むし歯に対しては、フッ化物配合歯磨剤を使用したブラッシングをオススメします。フッ化物配合歯磨剤では、少なくとも30秒から180秒の間は、ブラッシング時間が長くなるほど口腔内のフッ化物量が増加することと、その後1時間程度、フッ化物濃度の高い状態が維持されることが確認されています。
ですから、う蝕リスクに対しては、「3分間の歯磨きに追加して、歯間ブラシやデンタルフロスを利用しましょう」というのが一般的な指導内容といえます。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之