歯のない口腔内に歯周病菌はいない?|岩見沢市の歯医者|みしま歯科医院

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歯のない口腔内に歯周病菌はいない?

すべての歯がなくなっても歯周病菌は口腔内に棲息しています。

「歯がなくなれば、歯周病菌が棲む歯周ポケットもなくなるので、歯周病菌はいなくなるのでしょうか? 総入れ歯になれば歯磨きは必要ありませんか?」と聞かれました。どう答えればよいでしょうか?

すべての歯がなくなっても歯周病菌は口腔内に棲息しています。

歯周病菌はすべての歯がなくなっても、口の粘膜である舌、口腔底、口蓋、頬粘膜、口腔前庭、歯肉の表面に棲息することがわかっています。特に舌苔には多くの歯周病菌が含まれており、舌苔の量が増加すると歯周病菌も増えます。さらに、歯周病菌は口の粘膜の組織内や細胞の中にも棲息できることが知られています。

総義歯を入れている人の口腔細菌を調べた最近の研究では、Porohyromonas gingivalis(P.g.菌)などのいくつかの歯周病菌が唾液から検出されています。

P.g.菌は、動脈硬化性疾患や関節性リウマチに関与するという報告がある菌です。また、義歯の粘膜面や人工歯からも歯周病菌が見つかっています。総義歯の装着後に口腔内の歯周病菌の検出率が上昇したというデータもあります。清掃が不十分な義歯では、手入れがよい義歯に比べて歯周病菌の検出率が高くなります。さらに、歯周病菌の増加にともない、義歯による口内炎の原因となるカンジダ菌も増加します。

このような理由から、歯がなくなっても、毎日の手入れで口腔内と義歯を清潔に保つことが大切であることを、伝えましょう。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之