歯の治療をする場合は要注意!骨粗しょう症の薬の副作用とは?
骨粗鬆症の治療薬で多く用いられている薬であるビスホスホネート系製剤がありますが、使用している患者さんが抜歯やインプラントなどの手術をした場合に顎の骨が壊死(顎骨壊死)してしまう副作用があることが知られています。
ここでは顎骨壊死になりやすいリスク要因とビスホスホネート系製剤を使用されている方が手術をする場合の注意点についてご紹介します。
◆顎骨壊死のリスク要因
顎骨壊死になりやすいリスク要因として以下が挙げられます。
- ビスホスホネート系製剤の種類による要因(注射は飲み薬よりもリスクが高い)
- 口の中の衛生状況が不良または歯周病や歯周膿瘍などの炎症がある
- ステロイド薬や免疫抑制薬などを使用している
- がん
- 糖尿病
- 血液透析をしている
- 肥満
- 喫煙や飲酒
◆抜歯やインプラントなどの手術をする場合は要注意
ビスホスホネート系製剤の飲み薬を使用している場合、以下の項目が当てはまる場合には可能であれば手術をする前の3か月間はビスホスホネート系製剤の使用を中止します。手術を終え骨の治癒を認めた後に使用を再開します。
- ビスホスホネート系製剤の飲み薬を使用して3年以上が経過している
- ビスホスホネート系製剤の飲み薬を使用して3年未満だがステロイドを併用している
- 上記の、顎骨壊死になりやすいリスク要因がある
なおビスホスホネート系製剤の注射をしている場合に、抜歯やインプラントなどの手術を行って良いかどうかについては定まった一つの見解がないため、担当の歯科医と相談の上、治療方針を検討する必要があります。なお基本的に飲み薬と同様にビスホスホネート系製剤の投与期間が3年未満で顎骨壊死のリスク要因がない場合は薬の投与を中止する必要はないと言われています。
なお手術をした後はなるべく骨髄炎を発症させないように歯茎の傷や歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)を清潔に洗う、抗菌薬や抗菌性の洗口液(口の中をゆすぐ液体)を使用します。