歯ブラシや歯磨剤にはいろいろな値段のものがありますが、何か違うのですか?また、選ぶポイントは何でしょうか?
材科や成分に大きな違いはありませんが、歯科専売品には指導が必要です。
歯ブラシについては、年齢と器用さ、口のサイズに合った、ナイロン製かポリエステル製で、径が0.2mm以下の毛先を丸めた柔らかいものが推奨されています。歯磨剤に関しても、現在はおおむね90%の製品に約1,000~1,500ppmのフッ化物が配合されていますから、いずれも価格にあまり関係なく、ほとんどどれを選んでもよいということになります。ヒトを対象とした多くの研究では、フッ化物の濃度が低いと予防効果は下がるため、歯のフッ素症のリスクがある低年齢児では、濃度よりむしろ使用量でコントロールするよう指導するのが望ましいとされています。
歯科専売品は、基本的にブラッシング指導を前提とした歯ブラシ、歯磨剤です。現在のブラッシング指導は、時間をかけてすみずみまで磨く、フッ化物配合歯磨剤の最大の効果を発揮させるためにブラッシング後の洗口は少量の水で1回程度にしてフッ化物を残留させるといったものです。こうした指導に適するのは、細かいところまで磨ける小さめの植毛部の歯ブラシ、泡立ちが少なく味や香りの薄い歯磨剤になるわけです。
一方、一般に売られている製品は、歯科の指導を受けていない大でもある程度の効果が発揮できるように設計されています。そのような人の口腔清掃力を考えると、短時間で大まかに効率良くプラーク除去ができるやや大きい植毛部の歯ブラシ、フッ化物濃度は同じでも発泡性が高い歯磨剤のほうが、口腔全体に早く拡散すると考えられます。したがって、指導なしに歯科専売品を渡すことは、かえって不利になりかねません。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之