注目される健康食品で、う蝕予防をうたったものはよく見かけるのですが、歯周病予防をうたった食品は少ないように思います。科学的な根拠がある歯周病予防を目的とした食品には、どんなものがあるのでしょうか?
特定保健用食品や機能性表示食品に歯ぐきを健康に保つことをうたったものが存在します。
いわゆる「健康食品」のなかには科学的根拠の乏しいものもありますが、医学・栄養学的根拠に基づいて健康強調表示を許可された食品もあります。
「特定保健用食品(トクホ)」として許可された食品は、2017年12月時点で、1,000件を超えていて、歯科領域に含まれるものも約100品目存在しますが、その大部分ぱ歯の健康”に関するものです。
“歯ぐきの健康”に関するものとしては、「歯を支えるハグキの健康を保つ」食品として「カルシウムと大豆イソフラボンアグリコン」を含むタブレットが、「歯垢の生成を抑え、歯ぐきの健康を保つ」食品として「ユーカリ抽出物(マクロカルパールC)」配合のチューインガムが承認されているのみです。しかも前者は、対象が更年期を過ぎた女性に限定されています。
また、2015年4月から企業の責任で機能表示ができる「機能性表示食品」制度が施行されました。20巧年度には300件を超える食品が届け出られていますが、現在、歯科領域に含まれるものは、「歯ぐきを丈夫で健康に保つ」食品としてロイテリ菌(L.reuteri DSM口17838株)を含むヨーグルトやサプリメントが届け出られているのみです。
近年では、ビタミン類、脂肪酸、プロバイオティクス、抗菌性食品などを用いた、歯周組織の健康の保持や増進を目的とした機能性食品に関する介入研究が活発に行われるようになってきています。これらの科学的な根拠が示された保健用機能食品は、うまく取り入れれば、セルフケアの一方法として応用できるでしょう。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之