「舌苔が付くのはなぜですか? 舌苔はとったほうがいいですか?そのままにしていても大丈夫ですか?」と聞かれました。どのように答えればよいでしょうか?
体調に応じた舌苔の清掃をおすすめします。
舌苔が口腔内の他の部位への細菌供給源となることや、舌苔の付着が口臭産生の原因となることが知られています。口臭予防のためには、舌苔を清掃したほうがよいでしょう。ただし、完全に除去することは不可能ですので、清掃が過剰にならないように注意しましょう。また、舌清掃には歯ブラシではなく舌専用の清掃器具で行う必要があるでしょう。
舌苔は、剥落した粘膜上皮細胞、口腔細菌、食漬、血球などからできています。唾液分泌量の減少などにより舌苔の付着は増大し、口腔の健康状態や全身の健康状態によっても影響されます。
健康な人でも薄い舌苔が全体に付いていますが、ファイバースコープによる胃粘膜の観察で、胃炎などの症状が進行している時には舌苔は多くなるというような関連があることが指摘されています。つまり、消化管が弱って栄養の吸収状態が低下している時に舌苔の付着が多くなることがあるのです。消化管が弱っているときには粘膜の再生能力も低下していると考えられることから、過剰な清掃によって舌が傷つけられる可能性が高くなります。
舌苔の付着は生体反応のひとつであると捉え、付着しているから必ず除去するのではなく、状況に応じて慎重に対応することも必要でしょう。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之