要介護1の高齢の方で、食事は自立していますが時々ムセているとのこと。口を開けて寝ているとことが多いため、口腔内が乾燥しているようです。誤嚥性肺炎を防ぐには、どう対応すればいいでしょうか?
要介護1の高齢の方で、食事は自立していますが時々ムセているとのこと。口を開けて寝ているとことが多いため、口腔内が乾燥しているようです。誤嚥性肺炎を防ぐには、どう対応すればいいでしょうか?
舌の保湿を含めた口腔ケアを行いましょう。
誤嚥性肺炎は、発熱と胸部エックス線写真、ムセなどの症状から臨床的に診断されていることが多いようです。
長期間入院中の患者さんを対象としたコホート調査からは、誤嚥の状態にかかわらず、舌が乾燥しているほど37.5°C以上の発熱日数が多いということがわかりました。つまり、嚥下機能の低下の有無にかかわらず、舌の乾燥が肺炎を引き起こしている可能性が高いということになります。
一方で、高齢になり嚥下機能が低下してくると、舌苔が付着しやすくなります。舌苔は口腔細菌の温床となるため、舌が乾燥すると口腔細菌を肺に吸引しやすくなるということになります。さらに咳反射が弱いと、肺炎のリスクが高まることもわかっています。
実際に、施設入所中の要介護高齢者を対象に、毎食後のブラッシングと1%イソジン(ポピドンヨード)で咽頭を拭うことで、誤嚥性肺炎の予防効果があったことが日本の臨床研究で報告されています。海外では、体を起こしてから1日2回歯と歯肉をブラッシングして、0.12%クロルヘキシジン(CHX)でうがいをすることで、1年後に誤嚥性肺炎の抑制傾向が認められています。
これらのことから、舌の保湿を含めた口腔のケアが重要だということになります。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之