頭頚部放射線治療による口腔乾燥への対処法は?|岩見沢市の歯医者|みしま歯科医院

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頭頚部放射線治療による口腔乾燥への対処法は?

頭頚部癌で放射線治療を受けている方がいます。主治医に口腔内が乾燥しやすいため気をつけるよう言われましたが、どのようなことをサポートすればよいのでしょうか?

放射線治療中も終了後も、その時の症状に応じた口腔保健指導が必要です。

頭頚部への放射線照射では、大唾液腺が照射範囲に入ることがあるため、唾液が出にくくなり、口腔乾燥が生じます。放射線治療による唾液腺の機能低下は、放射線治療中から起こり治療終了後も継続します。そのため放射線治療にともなう口腔管理開始が必要となります。口腔管理の目的は、放射線治療中は口腔粘膜炎が生じることから放射線治療完遂支援であり、放射線治療後は口腔乾燥、自浄作用低下による根面う蝕やそれに起因する根尖性歯周炎、あるいは深い歯周ポケットをともなう辺縁性歯周炎が顎骨へ感染することによって生じる放射線性顎骨壊死の予防です。

まず、口腔粘膜炎が生じる前に歯石除去、就寝前に歯間ブラシなどの補助器具を用いた清掃の指導とフッ化物塗布を行います。アズノール含漱剤と市販の保湿剤塗布を、毎食後と就寝前の1日4回行うように指導します。頭頚部への放射線治療による口腔乾燥症の改善薬として、サラジェン(ピロカルピン塩酸塩)を投与してもらうこともできます。

口腔粘膜炎が生じると、疼痛のためセルフケアがしにくくなるので、保清と保湿に重点をおいた口腔ケアを行います。

放射線治療終了後は、根面う蝕予防のためにフッ化物局所応用を行います。口腔粘膜炎が治癒したら、セルフケアとして1日2回のフッ化物配合歯磨剤を使用したブラッシング指導を行い、歯科医院での定期管理におけるフッ化物塗布を行います。

日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之