Q:インプラントによる腫れがひかないときは?
1インプラントの部分が腫れてくるというのは、出血だけしてくるレベルと比べてかなり炎症が進行している状態です。
2腫れてきている部分はインプラント周囲の骨が吸収され、繁殖した細菌に対抗するために自分の免疫が慟いて炎症が起こっています。
・インプラントが腫れてきた原因は
インプラントの部分が腫れてくるというのは、出血だけしてくるレベルと比べてかなり炎症が進行している状態です。腫れてきている部分はインプラント周囲の骨が吸収され、細菌も繁殖しています。繁殖した細菌に対抗するために自分の免疫が働いて炎症が起こっています。
インプラントが腫れてきた原因は、・インプラント体の破折・荷重負担・メンテナンス不良・体調の変化と生活の変化のものが考えられます。
・インプラント体の破折というのは
めったに起こることではありませんが、十分な強度をもつインプラント体でも破折してしまうことがあります。折れてしまったインプラントは、速やかに撤去する必要があります。専用の器具にて除去し、可能であるならば再度インプラントを埋人することもあります。
・過重負担というのは
複数のインプラントを埋人した症例では、上部構造は連結したものをつくります。このとき、特定のインプラントのみに周囲の骨が吸収されることがあります。構造上、一部に限局して咬む力が集中してしまったのでしょう。まずはその負担を減らすべく咬み合わせの調整を慎重に行って行きます。同時に超音波による洗浄や抗生物質の局所投与などを行います。
・メンテナンス不良というのは
インプラント周囲の組織が腫れる原因は口の中の細菌ですから、メンテナンスがうまく行っている必要があります。ただし、歯磨きが悪いだけではインプラント周囲の組織が大きく腫脹するまで至ることは稀です。
・体調の変化というのは
糖尿病や血液疾患などの全身疾患が関係している可能性があります。内科等で新たな疾患や、既往がある病気の悪化が判明した場合は、直ちに歯科の担当医に伝えてください。また、慢性関節リューマチでは手指の動きが制限されてしまうため、自在に歯磨きができなくなってしまいます。電動歯ブラシの利用など、歯科衛生士に可能な範囲でのよりよいメンテナンス方法を教わってください。シェーグレン症候群では唾液が減少してしまいますのでプラークが付着しやすくなり、インプラント周囲炎が起きる原因となります。これ以外でもてんかんの薬であるフェニトイン、高血圧・狭心症の薬であるニフェジピンを使用されている方は歯肉が増殖することがあり、炎症を悪化させることになりますのでご注意ください。
・腫れの大きさと位置について
歯肉の腫れといっても、生え際に限局したわずかなものならば、歯磨き(プラークコントロール)だけでほとんど改善できることがあります。舌や指で触ってみて明らかなふくらみがあったり、鏡を見て左右非対称になるほどの腫れは、外科処置が必要なレベルです。大きく腫れた場合でも、特にその位置が上顎の側面から目の下にかかる部分ならば上顎洞という副鼻腔の炎症かもしれません。現在では、上顎洞にまで達する位置にインプラントを埋入することも多く、炎症が起きる可能性は以前より増えてきました。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之