Q:インプラントの種類・構造は?
・現代のインプラントは、失った歯根に類似して円柱もしくは円錐状の同じ形態をしているものを使用しています。
・現代のインプラントを分類するにあたり、①埋入する部分 (フィクスチャー)の形態、②上部構造(アバットメント)との接合方法 ②表面性状、などが大きなポイントとなります。
・現代のインプラントは失った歯根とほば同じ形態のものを使用
過去に使われていたインプラントとして、ブレード型インプラント、骨膜下インプラント、歯内骨内インプラントなどがあります。どれも第一選択として用いられることはなくなってしまいましたが、現在でも十分機能しているものがあるといわれています。現代のインプラントは、失った歯根とほぼ同じ形態をしているものを使用しています。
インプラントのメーカーは、世界中に数百社あるといわれていますが、それぞれに特徴があります。各社の製品に長所、短所があると考えられますが、最終的にどの方式が将来残っていくかはまだわかりません。ストレートタイプは、ブローネマルク、ストローマン、3i、カルシテック等の大手メーカーで採用されている形態です。同じ深さの埋大ならば骨との接触面積が最大になる、ということや埋入深度の調整が容易であるというメリットがあります。デメリットとしては、先端まで同じ太さであるために隣の歯とインプラントが接触してしまう可能性が高まること、埋入する部分の骨が薄い場合であっても多めに骨を削らなければいけないこと、等があげられます。テーパータイプはリプレイス(ノーペルバイオケア社)、POI(日本メディカルマテリアル)、アンキロス、アストラなどのブランド、メーカーがあります。テーパータイプのメリットはテーパー(円錐状で先細りの形態)のために骨への食込みが期待されるために良好な初期固定が考えられることです。また、先端が細いために必要な長さのインプラントを埋大した場合でも、隣の歯を傷つける可能性がストレートタイプに比べて格段に下がります。天然の歯も先端は、細くなっているためにルートフォームともいわれています(ルート=歯根、フォーム=形態)。天然の歯と似た形態のために力学的なメリットもあると考えられています。
・上部構造との接合方法は
上部構造との接合方法は、大きく分けて2種類あります。 1つはインターナル(internal)タイプ、もう1つはエクスターナル(external)タイプです。現在は、インターナルのシェアがやや多いと思われますが、エクスターナルを選択しているメーカーの主張にももっともな部分があります。インターナルタイプとは、骨に埋め込む部分(フィクスチャー)の上部が凹んでいて、その凹みに上部構造を差し込む構造になっています。逆にエクスターナルタイプは、埋め込む部分が凸状になっています。医院によっては、それぞれの特徴を生かして使い分けていることもあるようです。近年、プラットフォームスイッチングといって、埋めた部分(フィクスチャー)と上部構造(アバットメント)との間に段差をつくったほうが細菌の影響を受けづらいという考えがあります。
・表面性状①/チタン合金を粗造に加工されたインプラント
現在、多くのインプラントに用いられています。以前は機械で鏡のようにピカピカに磨かれたインプラントが用いられていましたが、現在では、暫間インプラントの一部を除いてすべて表面はサラサラに加工されています。表面がピカピカなものに比べて骨との接触面積が多くなることがサラサラに加工されたもののメリットだと考えられています。加工方法は、各社それぞれの研究結果を元に特徴を出しているようです。1990年代後半、この表面が粗いインプラントが発売されて、現在の安定したインプラント治療が確立されてきた、と考えられます。
・表面性状②/ハイドロキシアパタイト(HA)コーティング
ハイドロキシアパタイトというのは、天然骨のカルシウム分と同じ物質で、金属であるチタン合金よりも骨と結合しやすいと考えられています。ハイドロキシアパタイトコーティングインプラントの問題点としては、コーティングが剥がれる可能性があること、感染した場合に一気に進行すると考えられていることなどがあります。逆に、骨がない場所で初期固定がなくても埋入できたり、埋入後に動揺が起こっても増し締めすることで定着することができる、等のメリットがあるといわれています。それぞれの特徴を生かして使い分けるのが賢明でしょう。
・ワンピースタイプのインプラントは
多くのインプラントでは、2ピースといって埋込む部分と上部構造とをネジ止めしているものが多いのですが、ワンピースタイプといってすべて一体化しているものもあります。ワンピースインプラントは、現在主流ではありませんが、メリットとしては、アバットメントとの接合部分がないために破断や感染のリスクが減ることです。デメリットとしては、口の中に露出する部分の方向が決まってしまうので、埋入方向か難しいこと、上部構造の選択肢が限られてしまうことなどがあります。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之