Q:インプラント治療の失敗ってどんなとき?その対応は?
・骨との結合が起こらず、インプラントが揺れ始めて歯の支えをすることができなくなってしまったら失敗といえます。
・原因として細菌感染、糖尿病などの全身疾患や喫煙、強い力がインプラントにかかる、骨の量の不足や骨の質が軟かいことが考えられます。
・インプラントが揺れ始めてしまったら失敗
インプラントは手術後の安静期間に骨と結合することにより固定が得られ、かぶせ物を製作することができます。しかし、骨との結合が起こらず、インプラントが揺れ始めてしまい、歯の支えができなくなってしまったら失敗といえます。
・インプラント治療失敗の原因は
原因として細菌感染、糖尿病などの全身疾患や喫煙、強い力がインプラントにかかる、骨の量の不足や骨の質が軟かい、などが考えられます。
・インプラント治療失敗のときの対応策は
細菌感染を起こさないためには、処方された抗生剤をきちんと飲むこと、口の中を清潔に保つことが重要になります。全身疾患に関しては、手術前に内科医を受診し、指示に従い少なくとも手術に影響がない程度までコントロールしておく必要があります。即時修復の場合、安静期間も仮歯が付いていますので、強く咬んでしまうと強い力が加わり、周囲の骨が壊れて揺れてくることもありますので、注意が必要です。一度骨と結合した後に骨との結合が壊れて揺れ始めてしまったインプラントは、基本的に取り除かなければなりません。その後の処置としては、十分に骨がある場合は再びインプラントが可能ですが、骨がない場合は、自家骨移植などの造成術が必要なこともあります。再度、インプラントを希望しない場合には、ブリッジや入れ歯に治療方針を変えることもあります。
・インプラントを取り除かなければならないときは
一方、インプラントと骨との結合不良以外の理由でも、インプラントを取り除かなければならないこともあります。下顎の奥歯の部位には、骨の中に下顎管という神経や血管が入っている管があります。術前のX線検査などで下顎管までの距離を測定し、当たらない長さのインプラントを埋めます。これを傷つけてしまうと口唇に違和感やしびれが出ることがあります。違和感程度なら神経再生に効果があるビタミン剤を飲むことで回復することも多いですが、インプラント自体が原因となって、強いしびれがある場合は、インプラントを取り除く必要があります。また、上顎の奥歯の部位は上顎洞という鼻の空洞に近いため、手術後に鼻水に血が混ざることがまれにあります。2~3週で症状が治まれば特に問題ありませんが、改善しない場合は、インプラントを取り除かなければならないこともあります。さらに、インプラントと骨が結合して順調にかぶせ物が入ったとしても、インプラントを支える骨が減ってしまうこともあります。これは、インプラント周囲炎と呼ばれます。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之