Q:レントゲンは体に悪いから撮らない!
「レントゲンを撮らないで治してほしい」とは・・・・。そうお思いになるなら仕方がない。
「残念ですが、撮らせていただけないのなら治せません」って、私ならお話ししますね。
だって、どこが悪いのか、どれくらい広がっているかの見当もつかないのに、あてずっぽうで歯を削ったり、歯ぐきを切ったりできますか? エックス線写真どころか、CTまで普及しつつある時代に、そんな蛮勇は、とてもじやありませんが私は持ち合わせていません。とくに歯は、一度削ったらもとには戻らないんですから。
口をちょっと覗けば、どこでなにが起きていて、どれくらい悪いかがプロならすぐにわかるんじやないかとお思いなのかもしれませんね。しかし、実際はそんなに簡単なものではないんです。
ピタリと接した歯と歯のあいだの、外から見えないところからはじまるむし歯もあります。詰め物や被せ物の下でひっそりと広がるむし歯もる。それから、歯の根っこの先で炎症が進んでいる場合も、歯ぐきのずっと奥で炎症が起きていることだってある。歯の病気は、進行したものほど、見えないところで深く深く進んでいるんです。見たところ、なんでもないように見えてもね。
たしかに、レントゲンを撮れば「被曝」をします。放射線を浴びるわけですからね。 しかしだからといって、それが「怖いから」とレントゲンを撮らずにいたら、この辺かな? それともこの辺かな? と治療が手探りになってしまい、適当にガリガリと削らざるを得ないばかりか、ズキズキしてつらいのに、きちんとした治療を受けられません。
実際のところ、歯科医院のレントゲンの被曝量は、飛行機に乗って日本とアメリカとのあいだを往復したときに受ける自然被曝量と同程度かそれ以下だと言われています。そのリスクと、撮らなかったときに受ける不利益とをしっかり天秤にかけ、適切に選択していただきたいものですね。だからといってむやみに何枚も撮るのも問題です。しかい、必要最低限のレントゲン撮影は歯科治療に必須です。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之