Q:二次手術ってどういう治療のこと?
・歯肉の中に埋まっているインプラントを口の中に見える状態にするのが二次手術です。
・二次手術が不要な1回法を選択するかどうかは、手術部位の感染リスクの評価や患者の通院能力などによります。
・二次手術というのは
インプラント埋入を行って2ヶ月を超えた頃には骨とインプラントが結合してきます。ここで歯肉の中に埋まっているインプラントを口の中に見える状態にするのが二次手術です。インプラントのメーカーや、術式によってこの二次手術が必要のない場合があります。これは、1回法といって、インプラントの一次手術の時点において歯肉からインプラントのパーツが見える状態をつくって縫合する方法です。1回法では抜糸後、歯肉が治癒するときれいにインプラントのパーツ(ヒーリングアバットメント)が歯肉から顔を出している状態になります。ですから、二次手術が不要なのです。
・1回法を選択するかどうかは
二次手術が不要な1回法を選択するかどうかは、手術部位の感染リスクの評価や患者の通院能力などによります。一次手術の後に患者さんの都合で来院時期が決められなかったり、遠方のために少しでも感染リスクを減らしたい場合は、2回法を選択したほうが無難かもしれません。また2回法として開発されたインプラントでも、一次手術の際に仮りの土台(テンポラリーアパットメント)を使用して1回法と同じ手技とすることも増えています。その場合は、二次手術は不要です。一次手術と同時に仮歯を入れた症例でも、二次手術は不要です。二次手術といっても、簡単なケースでは5~10分程度で終わることもありますので、安全策をとるならば2回法を選択することが多いのです。
・歯肉に問題があるときは二次手術と追加の処置が必要
歯肉に問題がある場合は、二次手術と同時に追加の処置がなされることがあります。一番可能性として高いのは、付着歯肉という部分の幅が少ない症例です。完成したインプラントの周囲は、この付着歯肉という硬い歯肉で囲まれていないと歯磨きのときに痛くなってしまい、インプラント周囲炎の原因となりかねません。歯肉の移動術というのは、埋人したインプラント体周囲の一部にのみにしか付着歯肉が存在しない場合に、麻酔下でインプラントを取り囲むように移動させる方法です。個々の症例によって歯肉の形が異なるために用いる術式も多様です。歯肉の移動だけならば、インプラント周囲に限局して行うことができますが、移動だけでは付着歯肉を得ることが難しい場合は、歯肉の移植術が行われます。移植する歯肉は、上顎の内側(口蓋といいます)が用いられることが多いです。本来インプラントとは関係のなかった部分からの移植となるために、患者さんの肉体的負担が増えてしまうという欠点がありますが、長期的なインプラントの予後には大きなメリットがある方法です。歯科医師の立場から考えても、患者さんの苦痛が少ない術式を選択したいですから、移植に代わるものとして人工粘膜を用いる方法も考案されています。
付着歯肉が少ないときには歯肉の移動術や移植術を伴いますので、単純な二次手術よりも麻酔の量や処置時間は多くなります。一方、二次手術が簡単なものであれば翌週には型取り(印象採得)ができます。これは、縫合糸を必要とせずに二次手術が完成した場合です。二次手術で縫合が必要だった場合は、歯肉の安定をさらに待つために数週問必要することがあります。二次手術での患者さんの苦痛は、年々軽減される傾向にあります。以前は1回法のインプラントの大きな長所として二次手術が不要であることがあげられていました。しかし現在では二次手術が必要な2回法を選択しても術後の腫れや痛みを訴える患者さんが非常に少ないために、1回法、2回法の選択基準は患者さんの苦痛を主眼としたものからより確実性の高いもの、という観点に変わってきているようです。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之