Q:部分入れ歯からインプラントにするには?
・歯がない部位やその数により口の状況にはかなり幅がありますので、治療方針も方法もバリエーションに富んでいます。
・他の歯の治療にある程度目処がついたら、CTや模型による検査、診査を行い治療方針をたてていきます。
・治療方針も方法もバリエーションに富んでいる
何らかの原因で歯を失ってしまい、部分入れ歯を使用しているけれどもうまく咬めない、取り外しの面倒さや笑ったときにバネが見えるのが気になる、話がしづらいなどの理由で、インプラント治療をしたいという方は少なくありません。部分入れ歯といっても、1本歯がないケースから、逆に1本だけしか歯が残っていないケースまで、歯がない部位やその数により口の状況にはかなり幅がありますので、治療方針も方法もバリエーションに富んでいると思います。
・インプラント成功の鍵は
特に今まで入れ歯の装置(金属のバネなど)がかかっていた歯は入れ歯からの負担がかかり、虫歯や歯周病にかかりやすい環境におかれています(その負担をインプラントにより軽減させてあげることができます)。特にインプラントを入れる予定の部位の隣の歯が重度の歯周病でぐらぐらしているようであれば、事前に歯周病の治療や、歯周病の状態が芳しくない場合には抜歯をして、インプラントが歯周病(インプラント周囲炎といいます)になりにくい環境を整えてあげることも、インプラント成功の鍵となります。すべての場合に共通することとしてインプラント治療を始める前にまずは今残っている歯に問題がないか再度確認をしてもらってください。
・CTや模型による検査・診査を行い治療方針をたてていく
また入れ歯を安定させるための特殊な装置などがついたかぶせ物などがある場合は、つくり直す必要があることもあります。また咬み合わせに問題がある場合は、まず咬み合わせの位置を修正してから行う場合もあります(インプラント治療と併行して行うこともあります)。他の歯の治療にある程度目処がついたら、CTや模型による検査、診査を行い治療方針をたてていきます。部分入れ歯を使用して時間がたっている場合や歯の欠損の原因によっては顎の骨がやせていることがあります。骨の量にもよりますが、非常に少ない場合には事前に、あるいはインプラント埋入手術と同時に骨移植が必要なことがあります。
・問題は入れ歯を支えていた土手の形が変わったとき
この場合に問題となるのは、入れ歯は顎の土手の形に合うようにつくられていますので、骨の移植をしたりインプラント埋入のために歯茎を切ったりすると、入れ歯を支えていた土手の形が変わってしまうのです。つまり手術のあと、入れ歯は使えなくなってしまいます。もちろん入れ歯の種類、形によっては、ある程度傷が治ってからは修理をして再び仮歯が入るまでの間使うことも可能です。しかし歯茎を切って糸で縫い合わせるおおよそ1週間から10日ほど糸が残りますから、その問は土手の形が安定しませんので、少なくとも、その間入れ歯を使用するのは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。
・奥歯や前歯の入れ歯が使用できないときは
奥歯などの場合は、義歯がなくても見た目は比較的目立たないことが多いですが、お食事はしにくくなります。前歯の入れ歯が使用できない場合は、見た目に影響することが多いですので、手術前に担当医と術後どのような経過を辿るのか、しっかり説明を受けて納得してから治療を受けることが重要となってきます。最近では、事前にシミュレーションソフトなどを用いて、手術したその日に仮歯がつけられるような場合もあり、可能かどうか担当医に相談してみてもいいかもしれません。ただし、この治療法はすべての症例に行えるものではなく、骨の量や質によります。
日本口腔インプラント学会認定専門医 岩見沢市 みしま歯科医院 三嶋直之