「子どもが友だちから『口が臭い』と言われています。食べ物が原因なのでしょうか?」と相談を受けました。どう答えればよいでしょうか?
食べ物のほかに口腔清掃状態と口呼吸の影響が考えられます。
口臭は、にんにくなどの食べ物で生じることがありますが、一時的なものです。持続する口臭であれば、原因は、口の中に棲みついている細菌が産生するさまざまなにおい物質です。その中でも主な口臭の原因と言われているのが、揮発性硫黄化合物(VSC)です。
VSC濃度は、プラーク付着量との間に正の相関があることから、口腔清掃状態は口臭に関係していると言えます。
成人の場合、歯周病の存在により口臭が強くなりますが、子どもの場合は、口呼吸の存在が口臭を生じさせると言われています。口で息をすると口腔内が乾燥し、唾液による自浄性が低下します。それにより細菌の増殖が進み、におい物質が産生されるのです。近年、子どもの口呼吸が多いと言われていますので、口臭のある子どもの保護者には、日常的に子どもの口が開いていないか、口で息をしていないかを確認してみましょう。
子どもの口臭は、においの強い食べ物の一過性の影響を除けば、口の清掃状態や口呼吸が原因と言えます。口を閉じて鼻呼吸を心がけ、口腔清掃をていねいにするよう指導しましょう。口呼吸の原因として鼻疾患が疑われる場合は、専門医の受診を勧めましょう。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之