「健康食品のお店で、歯周病菌によい歯磨き剤を勧められて、ずっと使っているけど、実際効果はどうなのでしょうか?」どんな成分が入っていたら歯周病菌に効くと言えるのでしょうか?
現状では天然由来成分が配合された歯磨剤の実際の効果は未知数です。
健康食品を扱う店舗で販売されている歯磨剤は、天然由来成分の配合や、防腐剤や着色料の不使用などをうたったものが多い傾向にあると思います。
この質問では、歯周病菌によいとされる歯磨剤に、どのような成分が入っているかまではわかりませんので、歯周病菌の抑制・殺菌効果を期待して歯磨剤に配合されている天然由来成分について、お答えしたいと思います。
茶カテキンは、細菌の細胞壁の合成を阻害したり、過酸化水素の産生や細胞質酵素の抑制で細胞膜に不可逆の損傷を与えることによって、歯周病原性細菌やバイオフィルムの形成を抑制することがわかっています。また、歯周病原性細菌の出す有害な酵素を抑制することで、歯周病の進行を予防できるのではないかと考えられています。
その他の天然由来成分としては、抗菌作用を期待して、ココア・ポリフェノールやプロポリスを歯磨剤に添加しているものもあるようです。しかし、いずれの成分を配合した歯磨剤についても、臨床研究でのエビデンスが確立しておらず、実際の効果については未知数であり、あくまで補助的なものと考えた方がいいでしょう。
歯周病の予防には、歯磨剤の成分にこだわるよりも、ブラッシングによるプラーク除去と歯肉のマッサージを学習した方が合理的であると思われます。
日本口腔インプラント学会認定専門医 みしま歯科医院 三嶋直之